18年に三井物産とともにアメリカのソーンリサーチに出資したのもこのため。広大な国土のアメリカは、日本と異なり近所に薬局やクリニックが無い地域も多い。こうした地方に住んでいる人に対して、無痛の針で検体を採取できるキットを送り、それを分析して「あなたは将来的にこういった病気になるリスクがあるので、それが発病しないためにこうした栄養素をとるとよい」などと個人に応じたサプリメント等を調合し、送付する、といった事業をしている会社です。彼らの事業は、過疎化が進む日本の無医村や、中国大陸などでも展開できるでしょう。このような事業を育てていく。

――“病気にならない、病気が治る”というキャッチフレーズは、すでに健康食品業界では多く使われています。薬事法や景品表示法に抵触するとして問題が起きているケースも多い、グレーな世界です。大手企業であるキリンが、どうやって“ホワイト”に取り組むのですか。

 確かにマーケティングは難しい。たとえば、現在当社は、プラズマ乳酸菌という菌の研究に注力していますが、この物質の効能を認めた医師が、物質を患者に勧めるのはOK。でも、薬ではない食品と飲料などの商品の摂取と、なんらかの薬効や健康増進効果を結びつけるのはNGです。

 現状では、物質名が医学界に認められ、医師が患者に勧める、という流れを作っていくしかありません。いわばアカデミックマーケティングが必要になる。

 国や厚生労働省の理解を得る働きかけも必要かと思います。この分野は国の医療政策に関わるものではなく、むしろ増大一方の医療費を抑制することもできるもの。科学的なデータを確立したものに対しては認めてほしい。ただ、それができるようになるまでの間は、正攻法、クリーンなやり方を貫くつもりです。