翌18年にはJDIの最新液晶パネルを採用したiPhoneXRの販売が決まったことで一転して楽観ムードが広がり、19年3月期の期初にJDIは「5年ぶり最終黒字化」を公約に掲げた。

 しかし、iPhoneXRは発売からほどなくして販売が失速。あえなくJDIの主力生産拠点である白山工場(石川県白山市)の稼働は低迷し、部材調達費用がかさんで資金繰りも厳しくなった。

 これによりJDIの決算は、2年連続の営業赤字となった。2年連続で工場の巨額減損に追い込まれ、最終赤字は1094億円。1400億円の構造改革費用で2472億円の最終赤字を計上した前年に次ぐ赤字額だ。

 5年連続の最終赤字が響いて自己資本比率は0.9%と債務超過寸前に陥っている。ついに監査法人がJDIの決算で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」を記載するに至った。

資金調達の完了時期見通せず

「(台中連合からの)資金注入が確定しない場合には、当社資金繰りに重要な懸念を及ぼす可能性がある」と決算短信に疑義を注記した通り、監査法人が懸念するのは、台中連合と基本合意した最大800億円の金融支援の実現性だ。

 月崎社長は15日の決算会見で「(台中連合との)協議は順調に進んでいる」と言い張ったが、JDIへの資金注入に必要となる台中連合内部の機関決定の見通しはすでに2度に渡って延期されている。

 そもそもJDIが4月12日に台中連合との資本提携を発表した段階で、連合に参加する台中3グループとも内部の機関決定がなかったことが問題の始まりだ。このため、機関決定がなければJDIの資金調達の完了日程が確定できない状態が続いている。

 もっとも、当初は、3グループとも4月末から6月にかけて機関決定を済ませた上で、6月18日のJDIの定時株主総会で承認を得て、資金注入を完了する予定だった。しかし、2回の延期で、JDIは定時株主総会での承認を断念した。

 このため、3グループの機関決定は、定時株主総会以降になる見通しで、最終的な承認を得るために臨時株主総会を開くことになった。ただ、その開催時期は公表されていない。JDI自身がこの先の資金調達時期を見通せていない状態であるからだ。15日の決算会見でJDIの大島隆宣常務執行役員も「できるだけ早くクロージングしたい」と繰り返すばかりだった。