一方でルノーはすぐに統合交渉を始めろという要求は取り下げたが、統合方針自体は決して撤回していない、と両社の複数の関係者は断言した。

 さらにルノーの経営陣に近い関係者の話では、同社は非公式な形ながらも話を前に進めるためには「西川時代のページを閉じる」必要があるのではないかと論じている。

 ルノーはティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)を日産の次期取締役会メンバーに送り込みたいとも考えており、ボロレ氏がゴーン被告の側近だった経緯などから、日産側では挑発的なやり方だとみなされている。日産のある重役は「ボロレ氏を強引に取締役にしようとすれば、いろいろ厄介なことが出てくる」と懸念した。

 いずれにしても統合を巡る温度差は激しい。日産は必要な事業の立て直しに向けた軌道を外れてしまうとみなす半面、ルノーは本来の連合関係を回復させるために不可欠な手順であり、意思決定の迅速化や株価押し上げなどをもたらすと評価している。

 スナール氏に近いある関係者は「現在は連合関係がむしろ弱体化している。こんな状況を喜べるのは、ライバルたちだけだ。連合の深化が望まれている」と訴える。

 同関係者によると、スナール氏も結局は日産が交渉のテーブルに着くことに自信を持っている。「どんな企業でも手持ちの選択肢の検討を拒むことは不可能だ」という。

 しかし日産経営陣に近い幹部の1人は、ルノーが拙速に行動すればかえって西川氏が取締役会の支持を固めるのに手を貸す形になり、逆効果をもたらしかねないと警告する。ただこの幹部は「もしルノーが強硬に統合を進めなければ、皮肉にも西川氏はもっと批判的に見られるようになる」と述べた。

(Laurence Frost and Naomi Tajitsu)

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