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6月18日 18時0分
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ギリシャ緊縮派勝利後の展開〜ユーロ高は続くか〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨晩(6月17日)行われたギリシャ総選挙では、緊縮推進派の新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の両党で、過半数を獲得する見込みとなった。得票数1位(ND)と2位(急進左派連合)は、前回選挙と同様の接戦だったが、連立与党2党で過半数をなんとか上回った。サマラスND党首が勝利を宣言、ベニゼロスPASOK党首も連立政権に参加する意向を表明した。

・前回5月の総選挙で、緊縮財政反対を掲げた急進左派が得票を伸ばし、EUやIMFからの資金支援が途絶え、ギリシャがユーロ離脱に早々に追い込まれ大混乱に陥るシナリオが現実味を帯びていた。今回、緊縮財政継続を掲げる旧与党が政権を担うため、目先の危機勃発・混乱はとりあえず回避された。

・5月初旬から、「先が読めない混乱シナリオ」が意識され、大幅なユーロ安が進み、金融市場全般では株安などリスク回避の動きが進んでいた(グラフ参照)。今後どうなるか?6月初旬から欧州当局の政策期待などで、ユーロ安に歯止めがかかっていたが、最悪シナリオの可能性が低下し、安心感が一段と広がり、ユーロの買い戻しが続くのだろうか?


・既に、今朝のギリシャ選挙の結果をうけてユーロドルは1.27台と、ほぼ1ヶ月前の水準まで上昇し、5月以降にユーロ安が進んだ分の1/3程度戻った。ただ、ギリシャ発の大混乱が回避されたとしても、2012年初のように市場の不安心理が解消されるようになるには、欧州諸国による政策対応が必要とみられる。このまま5月選挙前までの水準までユーロドルが戻す可能性は低く、ユーロ高が進む余地は限られるのではないか。

・一つの理由は、スペイン国債の金利上昇・同国の銀行の資本不足への懸念が高まっていることである。スペインは財政支出を増やせないため銀行への公的注入を行えず、金融システムを維持するために他国からの支援が必要である。現在検討されている支援スキームだと、スペイン国債の信用リスクが低下する疑念などがあり、スペインの国債金利上昇に歯止めがかからない。「国債売り⇔金融不安」の悪循環を封じ込める仕組みについて、市場の信認が得られていない。

・今後、ギリシャやスペインに対する支援策交渉、金融システム安定化を図る過程で、ドイツなど支援国の譲歩によって、機能不全が明らかな「ユーロ体制」の強化・再構築を目指す対応が必要になる。水面下で議論されている、銀行同盟・ユーロ共同債などの仕組み作りが挙げられる。ただ、このハードルは相当高く、欧州支援国が一枚岩になり、早々に実現する可能性は低いとみられる。

・現実的には、上記のような対応を進めながら、昨年末に実現したECB(欧州中央銀行)による金融緩和や、重債務国の金利低下につながる政策がなければ、市場の不安心理を落ち着かせるのは難しいとみられる(グラフ参照)。景気下振れリスクが高まる中で、市場の不安心理を抑制するためにも、ECBは従来よりも景気配慮への姿勢を強めざるを得ず、7月にもECBによる金融緩和が予想される。金融緩和期待が強まる中で、仮に欧州債務問題が和らいでもユーロ高は長続きしないだろう。



(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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