ロイターが確認した議事録によると、豊田社長は3月19日の同社の幹部会合で対米投資の拡大に触れ、これは中国での事業拡大を加速させる前にとるべき「必須の」ステップだと説明。「トヨタがグローバルに事業を展開するためには、中国と米国の間で微妙なバランスを取る必要がある。敵を作らないですすめることが非常に大切」と、両国の琴線に触れないよう、慎重な対応の必要性を訴えた。

 トヨタは対米投資に続いて、中国への配慮も鮮明にしている。米国での新規投資計画を公表した後、同社は先月、清華大学と環境技術などにも取り組む連合研究院を設立すると発表。さらに、国営の北京汽車(BAICグループ)傘下の北汽福田汽車(Foton)にバス用燃料電池技術を提供することを明らかにした。

 いずれも規模が小さい技術協力だが、トヨタにとっての戦略性は高い。中国事業のアクセルを踏む環境づくりとして、同社には中国政府との関係を広げ、現地のビジネスを円滑に勧めたいとの思惑が背景にある。4月23日に開いた別の内部会合の議事録によると、ある幹部は「トヨタは本格的に中国ビジネスに舵を切った」と明言している。

発表のタイミング、米国に気遣い

 トヨタが3月に発表した対米投資拡大は、中国への技術協力と直接のつながりはないが、社内では二つの発表のタイミングを十分に議論した、とある関係者は話す。さらに、豊田社長の指示で同社取締役の1人が4月に在日米大使館でハガティ駐日米大使と会談、中国での2つの案件発表を事前に伝えた。

 4月23日の同社幹部会合の議事録によると、同取締役は「そこまで必要ないと思っていたが、想像以上に米国大使は評価してくれた」と報告した。