超音波や光などを制御するコア技術

 PDTの設立は2017年5月だが、そのルーツは2015年までさかのぼる。当時、東京大学の博士課程に在籍していた落合氏が、独立系ベンチャーキャピタルであるインキュベイトファンドの代表パートナー・村田祐介氏の支援を受けて米国法人のPixie Dust Technologiesを設立。そこに落合氏の大学からの友人であるPDT共同創業者・取締役CROの星貴之氏、アクセンチュア出身でPDT代表取締役COOの村上泰一郎氏らが参画。日本でのビジネス化を本格化するにあたり、日本にPDTを設立するに至った。

 PDTでは、音、光、電磁波の計測や制御をする「HAGEN(波源)」と呼ぶコア技術をベースに2つの事業を展開している。1つはコア技術をベースに企業と共同での研究開発を実施。製品として量産化や商用化を進める「プロダクトデプロイ型事業」。もう1つは空間のセンシング技術や人、ロボット向けのインターフェースなどを開発する「空間開発型事業」だ。

 あまり聞きなじみのない言葉が並ぶが、これまで手がけてきた技術やプロトタイプの一部は動画やPDTのコーポレートサイトなどで公開されている。たとえば「Pixie Dust」は超音波で物体を浮かせたり、自在に動かしたりできる装置だ。また同じく超音波を用いた「Holographic Whisper」は、何もない空中のある一点に音源を作ることができる技術だという。また市販の車いすに専用のユニットを載せることで自動運転化できる「xWheel」などもある。

 PDTでは「ある技術を活用したプロダクトを開発したい」、「自社の課題を何かしらの技術で解決したい」といった企業に対してコンサルティングを実施。自社および他社の技術を組み合わせて、課題解決のためのプロダクトを共同で開発している。検討段階のものも含めて、現在40社以上とのプロジェクトが動いているという。

「(製品は)これから世に出てきますが、NDA(秘密保持契約)を結ばないと話せないような内容ばかりです。ですがそんな状況でも資金調達ができているということは、企業がPDTをデューデリジェンスして、実際にパイプラインが動いているということの証明になっていると思います。研究自体には秘密性はないのに、PDTで開発しているものの秘密性が高いのは面白いですよね」(落合氏)