研究室の“成果”をそのままビジネスに利用できる座組み

 PDTのコア技術は、筑波大学にある落合氏の研究室で開発されたもの。PDTでは、研究室で生み出されたIP(知財)をよりスピーディーに社会実装する、すなわち製品化して世の中に出していくために、特徴的なスキームを作っている。

ピクシーダストテクノロジーズのIP利用の座組
ピクシーダストテクノロジーズのIP利用の座組 提供:ピクシーダストテクノロジーズ

 通常の産学連携では共同で研究開発し、いざ製品化となる際、権利配分やライセンスの締結など調整の必要な内容が多く、どうしても時間がかかってしまう。そこでPDTは、筑波大学にある落合氏の研究室に対して新株予約権を付与し、研究室で生み出したIPを100%利用できるようにしている。これによって研究室の技術や知見を素早くビジネスに転用できるという。

「私たちは、大学発のスタートアップによくある『自分たちが研究していた技術でスピンアウトした会社』ではなく、『仕組みの会社』だと思っています。大学の研究成果を連続的に社会に出していき、それに対して企業から対価をもらい、それをまた大学に還元するという仕組みを構築しようと考えています。もともとの課題感は、日本のアカデミアの世界でやっている研究が世に出ていないということ。特許のライセンス収入も、実は米国と比較しても数十分の一ほどしかありません。そういうところに課題感を持っていました」(村上氏)

「世の人々に届くもの」こそいい研究だと示したい

 PDTの経営陣には元コンサルタントの村上氏や、バイオベンチャー・ペプチドリームの元CFOである関根喜之氏など、これまでもテクノロジービジネスの世界で活躍してきた人物が参画するが、創業者である落合氏と星氏は研究者の出身だ。彼らが起業の道を選んだ理由はどこにあるのか。

「大学で先生をやっていた頃から超音波に関する研究に取り組んでいました。企業との共同研究にも取り組んでいて、あるとき研究成果の特許を共同で出願しようとなったんです。ですが大学側と企業側で特許に対する考え方にズレがあって、共同出願自体がなくなることがありました。それで(研究成果が世に出ないのは)はつまらないと思ったんです」

「学生の頃は『研究者というのは、(未来を見据えた新しいことをするために、あえて)社会実装を目指さないのが美学』という考えに染まっていたこともありました。ですが、そうじゃない。『社会実装され、繰り返し使える。そして世の人々に届く。それでいて技術も新しい』というものこそが、いい研究だと示したいと思ったんです」(星氏)