深セン大学正門
深セン大学正門。守衛もいるが、複数の監視カメラも来訪者を録画している

腐敗や不公正、そして何より非効率が支配していた中国の行政サービスは、テクノロジーのおかげで急速に向上している。「スマートガバメント」の言葉通り、賢くなっているのだ。かつてはスマートの反対で、どうにも間抜けで頼りにならなかった行政サービスだが、ネットワークに繋がったカメラなどのIoT端末が効率を上げ、人々の振る舞いも変えつつある。(ニコ技深センコミュニティ 高須正和)

中国は落とした財布が
見つかる安全な街に

 知人が先日、深セン大学に訪ねてくる途中、タクシーの中にカバンを忘れた。ラップトップが入っているので大急ぎで大学の守衛室に駆け込んだところ、カバンは1時間もかからずに戻ってきた。

 カバンをなくしたのに気づいて守衛室に駆け込んでからのプロセスは、こんな感じだ。

1. 大学の守衛室にスマホのグーグル翻訳で中国語の文章を見せて問い合わせる。

2. 守衛は、壁一杯に並んだモニタで、大学内に設置されている多くの監視カメラの映像を確かめる。

3.大学入り口(タクシーから降りたところ)の監視カメラを見て、映像を巻き戻す。タクシーの会社名やナンバーを確認する。

4.守衛がタクシー会社に問い合わせる。

5.タクシー運転手が、仕事の合間に大学まで届けてくれる。

 以前は守衛が頻繁に大学内を巡回していたのだろうが、今、その業務は多くは監視カメラに置き換わっている。せいぜい数時間に1度の巡回に比べて、常時ONになっていて録画の巻き戻しもできるネットワーク化された監視カメラは、人々の生活を変えつつある。

 僕は深センのホテルで財布を落としたことがある。ところが廊下で落とした財布は清掃スタッフがフロントに届け、僕が財布をなくしたことに気づくより早く、チェックアウト時に返ってきた。財布にはクレジットカードやいくつかの身分証が入れてあるので、なくしたら真っ青になるところだ。