米エクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルとともに石油メジャーの一角を成すトタールは、世界が低炭素社会を志向し始めたこともあり、LNGへの投資を加速させてそのポジションを拡大している。

 この1年でロシア、モザンビーク、カナダの新規プロジェクトへ投資。今年4月に米国の新規プロジェクトへの投資も決めた。これらのプロジェクトは早くても今から5年後、2023~24年ごろの商業生産の開始となる。

 東芝が売却したフリーポートは新規ではなく“既存”扱いのプロジェクトだ。今年9月ごろには、「第1トレイン」が商業運転に入る予定で、東芝が保有した「第3トレイン」も、20年半ばには商業運転が始まる見込みだ。

 多くの新規LNGプロジェクトは、災害や雇用環境、地政学リスクなどから予定通りにいかない。それに比べれば、フリーポートはまだ、先が見通しやすい。あるLNG業界関係者は「新規より手頃な既存プロジェクトを優先させた可能性が高い」と分析する。

 東芝のフリーポートは、新規と既存のプロジェクトをバランスよく配置したいトタールのLNG戦略にちょうどはまったのである。

 東芝はLNGの販売先やそれに必要な輸送船の確保といったノウハウが全くなくLNGビジネスに突っ込んだので、1兆円の損失リスクを抱えた。世界中に顧客を持つトタールであれば、そのリスクは小さいということだろう。

トタ―ルの決断、米中問題による新規LNG足踏みも背景

 早期決着した二つ目の事情は、米中貿易戦争で米国産LNG「第2の波」への懸念が高まっていることだ。