今年のコンピューテックスで裏テーマとなったのは、冒頭でペガトロン会長も言及した米中貿易貿戦争の影響とその対応だ。

 コンピューテックスに参加した米インテル、米アドバンスト・マイクロデバイセズ(AMD)、英アームの半導体世界大手は軒並み、中国ファーウェイへの供給を停止する方針。「できるだけ早く問題が解決されることを望む」(AMDのリサ・スー最高経営責任者)のが本音であり、業績への打撃の深刻さをうかがわせた。

盛り上がる会場の様子2019年のコンピューテックスは、25の国と地域から約470社が出展し、5月28日から6月1日までの会期中に171ヵ国・地域から約4万2500人が来場。出展数、来場者とも過去最高だった Photo by R.M.

 対して台湾企業は、欧米の半導体大手よりもはるかに商魂たくましかった。台湾勢は近年、「世界のコンピュータ産業の集積地」としての地位を中国勢に脅かされている。故に台湾勢からは足元の米中貿易戦争は、米国企業の注文を中国から奪取、奪還する商機であるとの声が多かった。

 PCのマザーボード大手である台湾・技嘉科技(ギガバイト・テクノロジー)の担当者は、賑わう展示ブースに顔をほころばせて「ファーウェイは競合。ローコストで攻められてきたが、米国のお客が中国に注文を出しにくくなればチャンス」と語った。米国への出荷拡大の機運が現場にまで広がっていることをうかがわせた。

製造拠点をすでに中国大陸からシフト

 台湾IT機器メーカーの生産拠点は、ほとんどが中国大陸にあるが、ギガバイトはすでに米国に輸出する製品のすべてを中国の工場から台湾・桃園市の工場に切り替え、「メイド・イン・台湾」の製品を拡充した。

 台北から車で1時間ほどの工業地帯にある桃園市は、かつて低賃金を求める台湾企業が中国大陸に工場を移転したことで低迷していたが、にわかに「台湾回帰」が進み、米中貿易戦争で恩恵を受ける地区として注目されている。

 台湾の産業用コンピュータ大手である研華(アドバンテック)は、中国の昆山工場の生産の一部を台湾の桃園市の林口工場に移転済みだ。共同創業者の何春盛氏は「米中貿易戦争の影響で中国売上高は前年から10%減少しているが、米国の売上高はそれ以上に伸びた。(中国売上高は米国より大きいので)トータルでイーブン。米中の対立で中国市場は厳しいが、台湾企業全体にとって米国企業との取引を拡大する商機だろう」と述べた。