現在、文大統領は企業経営者や投資家の不安心理を高めている。

 文政権の経済政策は、韓国経済を悪化させてしまった。同氏の進めた最低賃金の引き上げは、企業に負担を強い、雇用の減少につながった。若年層の失業率は深刻化しており、15~29歳の失業率は11%を超えた。多くの韓国の若者が、将来への希望を持てず、わが国など海外にチャンスを求めている。大手企業も米中摩擦の回避などを理由に、ベトナムなど海外に進出している。

 その結果、韓国経済の長期停滞懸念が高まっている。一方、労組は賃上げなどを求めてストライキを起こしている。それは、韓国の所得・雇用環境を一段と悪化させるだろう。それに加えて原油価格の上昇やウォン安が輸入物価を押し上げ、韓国の個人消費は減少傾向をたどる恐れがある。
 すでに一部財閥企業の世襲経営は限界に直面し、錦湖アシアナなどでは経営が危機的状況に陥った。リスク回避から外国人投資家は韓国株を売り、それがウォン安に拍車をかけている。中国経済の減速が鮮明化すれば、韓国の株安・ウォン安は勢いづくだろう。

 経済環境の悪化を受けて、文政権が国民に一時的な負担を強いる構造改革を進めることも難しい。同時に、文政権が何もしないでいたとしても、世論は公平に富が分配されないことや、財閥創業家に経済的な力が集中していることを怨み、政権を批判し続けるだろう。

 戦後最悪の日韓関係が一段とこじれる中、韓国が経済の安全弁である“日韓通貨スワップ協定”の再開を目指すことも難しい。まさに、文大統領は八方ふさがりの状況に陥った。当面、韓国からの資金流出は続くだろう。

高まる
韓国財政の悪化懸念

 文政権は、財政支出を通して国民の富を増やしているとアピールしつつ、景気のモメンタムを強めたい。確かに、財政支出が増えれば、一時的に景気は勢いづく。