麻生大臣が上司ではかわいそう

 ところが、追及の矢面に立った人物が、麻生太郎大臣(財務・金融担当)だったのがまずかった。彼は、何と「表現が不適切だった」と報告書をバッサリと切って捨てた。

「2000万円は、単に平均値に基づく高齢家計の試算を示しただけで、何の問題もない。報告書を丁寧に読んでください」とでも説明しておけばよかったところを、早々に表現の非を認めた。

 麻生氏は、年金が話題になるとまずいと思い、この問題を早く終わらせたかったから、「表現が不適切」で済まそうとしたのだろう。しかし、この手の逃げ腰は、追及したくなる心理の火に対して大いに油を注ぐ効果がある。麻生氏の初期対応の誤りで、この問題は「炎上」に至ったと筆者は思っている。

 それにしても、委員の意見をまとめて表現を調整して報告書をまとめた事務方の担当者は、上司筋である大臣に「表現が不適切」と言われては立つ瀬がない。こんな上司の下で働くのではたまらないだろうと、ご同情申し上げる。

 しかし、結果的には、部下をもう少し大切に思う気持ちを持って丁寧に答弁していれば、この心ない上司の側でも炎上に巻き込まれずに済んだのだろう。つまりは、不心得に対して罰が当たったような展開であり、世の中は案外バランスが取れている。