安倍晋三首相と黒田日銀総裁6月11日、安倍晋三首相(写真右)は参院決算委員会で、日銀は物価目標2%を達成していないが、金融政策の効果が雇用ルートを通じて波及し、完全雇用を達成しており、その意味で金融政策も含め、目標を達成しているとの見解を示した。写真左は黒田日銀総裁。昨年4月都内での代表撮影(2019年/ロイター)

[東京 11日 ロイター] - 安倍晋三首相は10日の参院決算委員会で、日銀は物価目標2%を達成していないが、金融政策の効果が雇用ルートを通じて波及し、完全雇用を達成しており、その意味で金融政策も含め、目標を達成しているとの見解を示した。これに対し、市場ではアベノミクスの成果を強調する安倍首相のスタンスが鮮明になったとの受け止め方が出ている。

 安倍首相は、大塚耕平委員(国民民主党・新緑風会)の質問に対し「金融政策については日本銀行を信頼し、日本銀行に任せている。確かに物価安定目標2%は達成していないが、本当の目的は、2%の物価安定が一応目的だが、本当の目的はたとえば、雇用に働きかけをして、完全雇用を目指していくことであり、そういう意味においては、金融政策も含め、目標を達成していると思っている」と述べた。

 また、出口戦略については、日銀に任せているとの姿勢をあらためて示した。

 この発言に対し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア・マーケットエコノミスト、六車治美氏は「安倍首相は、以前から政治にとって完全雇用は大切と言っており、2%は達成していないが、アベノミクスは成功しているとの姿勢を強調した発言だ」と述べた。

 また、少し深読みかもしれないがと断った上で「市場では米追加緩和の思惑が高まって、日銀の追加緩和への期待も出てきているが、無理に追加緩和しなくてもいいとのメッセージとも受け取れる」と指摘した。

 一方、ある市場関係者は、安倍首相の発言を額面どおりに受け取れば「2%の物価目標は達成していなくても、達成しているということだから、円高の材料にしてもよかった」と話す。

 ただ、突然出てきた話なので「きちんと消化できなかったというのが、市場の実態だった」とし、もし、安倍首相の発言が繰り返されれば「今度は円高で反応するかもしれない」と語った。

(田巻一彦 編集:石田仁志)

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