笑顔の先に明るい未来があります…笑顔の先に明るい未来があります…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

先月末に川崎で起きた殺傷事件。今月初めに起きた練馬区の殺人事件。2つの事件で引きこもりの当事者を「犯罪者予備軍」と見る動きがある。本当にそうなのだろうか?引きこもりと引きこもりにつながるとされる不登校の子の親たちへ、3人の不登校っ子のサポートに追われる立場からエールを送る。(取材・文/フリーライター 麓 加誉子)

川崎と練馬
2つの事件で震えた人たち

 5月28日、51歳の男が起こした川崎の殺傷事件。そして6月1日の練馬での元事務次官の父親が44歳の長男を刺殺した事件。事件を知り、今現在、引きこもりの子を持つ親、不登校児を持つ親の中には、わが家の行く末か?と震え上がった人も多いのではないだろうか。

 実はわが家も例外ではない。わが家は高校年代の長男、中学生の次男と長女、合わせて3人がいる。いずれも不登校。長男が病気で倒れて登校できなくなった時から数えて、不登校生活は5年目に入る。長男を高校年代の子、と表現したのは高校には進学しなかったから。下の2人も学校にはまったく顔を出さない。

 全国に100万人を超えるとされる「引きこもり」たち。同じく14万人と言われる不登校の子たち。当事者も親も、2つの事件でドキッとした人が多いかもしれない。

 まず安心してほしい。

 引きこもりの人が起こす事件はごくわずかだ。1999年以降に起きた殺人事件のうち、引きこもり経験者が関与しているものは全体の0.002%。犯罪者予備軍と呼べるものではない(6月6日東京新聞調べ)。

 例えば、精神科医で、長く引きこもりの人への治療や支援に携わってきた齋藤環さんも、ハフィントンポストに掲載された記事(『「ひきこもりは非常に犯罪率が低い集団としか言いようがない」精神科医・斎藤環氏が過剰な報道に苦言』)の中で、「相関関係がない」と語っている。