格安航空会社LCCの参入に伴い、新たなビジネスチャンスを掴もうと活性化している旅行業界。30ヵ国で展開する世界最大のフルサービスオンライン旅行サイト、エクスペディアの日本法人であるエクスペディア ジャパンも例外ではなく、国内法人による独自の市場開拓によって国内シェアを拡大している。今、グローバルカンパニーにおける各国市場の開拓には何が求められているのか。同社の代表取締役兼東アジア担当ゼネラルマネージャー・三島健氏に、自らのキャリアを振り返りつつシェア拡大の秘訣について語っていただいた。

シェア拡大の裏にあったのは
自由で柔軟なカンパニーカルチャー

カントリーマネージャーは“雇われ社長”ではない<br />急成長を支えたのは自由なカントリーカルチャー<br />――エクスペディア ジャパン代表取締役兼<br />東アジア担当ゼネラルマネージャー・三島健氏【前編】みしま・けん
1972年生まれ。1998年、New South Wales大学 大学院(豪州)卒業。ソフトバンクBB、日本SafeNetなどを経て、2008年、eBayの日本法人にて再進出のきっかけとなるクロス・ボーダー事業の立ち上げに従事。事業開発並びにマーケティングを担当。2011年1月よりエクスペディア・ホールディングス株式会社代表取締役兼ゼネラルマネージャーに就任。その後、6月に東アジア地域のゼネラルマネージャーに就任し日本、韓国、台湾を統括。2012年3月よりExpedia IncとAirAsiaがオンライン・トラベル事業をアジアで展開するために設立した合弁事業会社AAE Travel Pte Ltd (AirAsiaExpedia)の日本法人AAE Japan株式会社の代表取締役兼東アジア担当ゼネラルマネージャーに就任。

 三島さんがエクスペディアジャパンのカントリーマネージャー(各国・地域法人の代表にあたる職)になられてからの1年半の間で御社は順調にシェアを拡大されています。現在、日本でのインターネット経由の旅行手配の比率は25%です。その中で、御社は前年比50%増と急成長されています。この成長にはどんな秘訣があったのでしょう?

三島 エクスペディアジャパンがシェア拡大を実現させている背景に、エクスペディアの自由で柔軟なカンパニーカルチャーがあると思います。旅行というのは、アメリカで流行っている旅行スタイルをそのまま日本に持ってきても流通しないものです。その国その国のカルチャーから生まれたFace to Faceのマーケティングが求められるから、グローバルプラットフォームではなく、ローカルプラットフォームのサービスが大切。エクスペディアには、各国の現場スタッフにマーケティングのアイディアや運営を任せていくという風土があるため、それが日本での事業成長につながったのではないでしょうか。

 なるほど、カンパニーカルチャーが急成長した要因の一つとして挙げられるわけですね。

三島 そうですね。グローバル企業は、本社が決めたビジネスモデルをそのまま各国で進めていくというのが一般的ですが、それは各国法人の取締役であるカントリーマネージャーからしてみると退屈なことです。いわゆる“雇われ社長”だから、誰がやっても結果は同じになりがち。