株価から見える第四次産業革命、AI関連銘柄から目が離せない我々が暮らす現代社会は「第四次産業革命」に突入している。その中核技術であるAI関連銘柄から目を離せない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

第四次産業革命の動き
トヨタ株とHEROZ株の違い

 私たちが暮らす現代社会は、「第四次産業革命」の世に突入しています。図らずもその一端は、6月の株式市場から垣間見ることができます。

 革命の動きのひとつは、時価総額で20兆円を超えるトヨタ自動車(7203)の株価です。同社株は、トランプ大統領がメキシコへの関税の発動を口にしたことで急落しました。

 さらに米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、金融緩和への方針転換を示唆する発言をし、為替市場ではドル安・円高圧力が強まる展開に。米中貿易紛争の影響が色濃くなって中国の自動車販売台数が大きく低下したこともあって、トヨタ株は右往左往の状態でした。

 トヨタ株への評価が二転三転する一方で、東証マザーズに上場するHEROZ(4382)の株価は、一貫して上昇基調をたどっています。1日で+20%以上も急騰することもあるなど、華々しい動きを演じました。

 HEROZはAI(人工知能)の開発で知られるエンジニア集団です。同社の開発した将棋ソフトは、現役のプロ棋士に勝利を収めたことで知られています。

「ディープラーニング」を含む機械学習の手法を得たことで、人工知能は鋭角的に進化しています。データに基づく未来予測や経路の最適化、画像認識、配置の最適化など、実業界においてもAIの分析結果を経営判断に導入する事例が急速に増えています。

 1990年代後半に「インターネット革命」が進行した時もそうでしたが、ソフトウェアの進化によって時代が大きく変化する時は、外部から眺めていても実態がよく把握できないことが多いものです。しかし、ソフトウェアの変化はスピードが速く、着実な前進を遂げます。その変化が最初に現れるのは、株式市場での株価の変化である場合が多いものです。

 現在の株価を見ている限り、第四次産業革命は、はっきりと目に見えて進展しています。

 スマートフォン(スマホ)は「手のひらサイズのスーパーコンピューター」と認識されて久しいです。スマホは当初、単なる携帯電話の一機種として登場しました。ところが今では、スマホは個人の1日の活動履歴をあらゆる角度からすくい取るマシンに変貌しています。

 どこをどう歩いてどこを訪れたか、どのような音楽を聴いたか、ネット取引で何を購入したか、証券売買、グーグルの検索、サイトの閲覧、何から何まで個人の履歴として膨大な量の活動記録がデータとして集められています。