リーダーに欠かせない能力の一つとして、自己認識(セルフアウェアネス)が注目を浴びている。自分を正しく知る人は、自信が高まり、パフォーマンスが上がり、昇進によい影響をもたらすことが示されている。一般に、女性のほうが男性よりも自己認識に優れているとされるにもかかわらず、なぜ女性リーダーは相変わらず少なく、給与も男性より低いのだろうか。筆者は、そのギャップを解消するために3つの教訓を明らかにする。


 自己認識(セルフアウェアネス)は、21世紀のリーダーに欠かせない基礎的な能力だ。自分を知り、人からどう見られているかを知るリーダーは、パフォーマンス自信信頼感昇進において優位性を示している。

 企業リーダーに、私たちが5年ちょっと前から行っている自己認識力に関する調査について話すと、たいてい「性別による違いはあるのか」という質問が返ってくる。

 まず、データではどうなのか。調査結果では、男性よりも女性にやや分がある。

 275人に対して行った調査では、女性のほうが男性よりも、自分の自己認識力をわずかだが高めに採点した。直属の部下上司、同僚から見た自己認識力に関する別の調査でも、女性のほうが若干高く評価された。また、キャリア形成における自己認識力の重要性を、より認識していたのも女性だった。

 にもかかわらず、シニアレベルの女性リーダーは相変わらず少なく、給与も男性より低い。性別による待遇の不平等にはさまざまな原因があるが、自己認識力の果たす役割に注目すると、女性やそのキャリア形成を支援する人々が、どうすれば格差に対抗できるかが見えてくる。

 女性の自己認識力の高さは、なぜ女性のシニアレベルへの昇進につながらないのだろうか。既存の文献の中に、この根深い格差の理由を説明し、何らかの教訓を与えてくれるものはあるだろうか。そして、このギャップを埋めるにはどうすればよいのだろうか。