近未来に資本主義は崩壊して別な社会になる?

 このように、資本主義社会においては、「生産手段(土地・工場・機械など)の私有」「労働者の労働力の商品化」が行われます。生産物は商品となり、かつ、この生産物は資本家に属しています。

 人間は、自分自身が他人に承認してもらいたいという意欲のもとに労働するものですが、資本主義社会においては、自分が匿名的な存在として生産物の生産をするだけのむなしい活動となり、労働者は労働から疎外されてしまいます(労働疎外)。

 また、人間と人間の社会関係がゆがめられ、物と物との関係となり(物象化)貨幣そのものが価値をもつかのような錯覚が生じます(物神崇拝)。

 マルクスは『資本論』で、「一定の成熟の段階に達すれば、特定の歴史的形態は脱ぎ捨てられ、より高い一形態に席を譲る」と説いています。歴史を深く研究していたマルクスは、資本主義が未来においてどうなっていくのかを予測したのでした。

 会社と会社が戦えば、会社が淘汰されていきます。これが世界全体に広がっていけば、資本主義は必然的に崩壊すると考えられています。

 マルクスの著作『経済学批判』の「序言」には、唯物史観が展開されています。

「人間は、その生活の社会的生産において、一定の、必然的な、彼らの意志から独立した関係、すなわち、彼らの物質的生産力の一定の発展段階に対応する生産関係を結ぶ。この生産関係の総体が、その社会の現実の土台をなす経済的構造を構成する。…人間の意識がその存在を規定するのではなく、反対に人間の社会的存在がその意識を規定する」

 冷戦終結後、ソ連の崩壊などにより資本主義が勝利したかのように思われていますが、近未来はどうなるか誰にもわからないのかもしれません。

人生で役に立つこと
労働そのものを第一の目的として、個人が楽しんで働きながら、富が豊かに湧き出すような社会が理想。それには、現代の資本主義の弊害も考えながら、自分の経済生活をながめ、過労死しないように注意しよう。