1997年9月20日号の本誌特集は物議を醸すものとなった。そのタイトルは「倒産危険度ランキング」。文字通り、上場・店頭公開企業を対象に倒産危険度を算出したものだ。

 当時、建設・不動産を中心に上場企業の倒産が相次いでいた。信用調査機関やアナリストの元には「この会社は大丈夫か」という個人投資家からの問い合わせが殺到したという。

 企業の倒産リスクを明示することの重要性が高まっている──。そこで本誌は、財務諸表による開示情報のみを基に倒産リスクを数値化し、ランキングした。使用した指標は「Zスコア」と呼ばれる、もともとは米国の経済学者エドワード・アルトマン氏が考案した分析手法だ。現実に倒産した企業の財務状態を回帰分析することによってつくられている。具体的には五つの項目の和で構成される(図参照)。

 

 こうしておのおの計算した5項目に、ウエート付けして足し合わせることでZスコアが求められる。もちろんこのウエートも回帰分析によって算出されたものだ。Zスコアが2.99を上回っていれば倒産の可能性なし。1.81~2.99は倒産の懸念を否定できない。そして1.81未満は危険水域とされている。

 もちろん完璧に企業の生死を予測できるものではないし、もともとは米国生まれの手法のため、日米の会計基準の違いも考慮しなければならないだろう。それでも、本誌はあえて「危険度」を明らかにした。どの項目の数値が低いかを見ることで、その会社の弱点を知ることができるとも考えたのだ。

 そして約20年がたった今、あらためてランキングを眺めてみると、不謹慎ながら、驚くほど“当たって”いたことが分かる。図にワースト20社を再掲したが、3社を除き、倒産してしまったか、どこかの傘下に入って再出発を図っているのである。現存する3社についても、経営指標が厳しかったのは事実だけに、むしろよくぞ立ち直ったと称賛すべきだろう。

 平成時代の30年間には、実に多くの企業が倒産し、消えていった。

 北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行、山一證券といった大手金融機関や、そごう、マイカルなどの小売業は必ず名前が挙がるし、国の支援も受け、“親方日の丸”の代名詞だった日本航空も破綻した。

 戦後に倒産した企業の負債総額上位50社のうち、実に49社が平成時代に倒産している。負債総額で過去最大なのは協栄生命保険で4兆5296億円(2000年)、2位はリーマン・ブラザーズ証券で3兆4314億円(08年)だ。そんな激動の時代だったからこそ、経営者も従業員も投資家も、企業の財務状態をしっかりと把握するための財務知識と分析能力が必需となった。

 もちろん、決して危ない会社や弱点を見分けるためだけではなく、どうすれば企業は成長できるのかという将来の進むべき道を見据える意味においても、財務3表の理解は不可欠なのである。

(週刊ダイヤモンド2018年12月29日・2019年1月5日合併号特別付録「財務3表 入門手帳」を基に再編集)