“人と出会い、社会と出会う”教育を実践
自律的な女性を育成する

神奈川学園中学・高等学校

横浜駅から徒歩10分の高台にある神奈川学園。創立100年を超える伝統の女子校で、その教育の大きな魅力は「人と出会い、社会と出会う」こと。6年間を通したプロジェクトで、生徒たちは世界の課題を“わがこと”として捉え、人間的に大きく成長する。

神奈川学園中学校・ 高等学校
大石圭子校長

 神奈川学園の創立者である佐藤善治郎は、建学に際して「女子に自ら判断する力を与ふること」「女子に生活の力量を与ふること」という二つの教育目標を掲げた。時は1914(大正3)年、まだ「女性は付き従うもの」という見方が主流だった時代である。

 彼は、女性の育成をさまざまな実践の中で実現しようと、ネイティブ教師による英語学習や、社会で活躍する人々を招いた講演会、広く社会に開かれた文化祭などを考案し、実施した。その女性の自立を促す理念は、今も形を変えながら受け継がれている。

「特別な宗教を持たない本校が、昔も今も大切にしているのは、“人と出会い、社会と出会う中で、人は成長できる”という考え方。その実践の中に、本校の教育の本質があります」と大石圭子校長は言う。

人と社会に出会う
「Kanagawaプロジェクト」

 その“人と出会い、社会と出会う”ための取り組みが、6年間を通して実施される「Kanagawaプロジェクト」だ。学年ごとにテーマを設け、世界が抱える課題について学び、考え、自らの行動に移していく。柱となるのが、中3の「多文化共生」を考える海外研修と、高1の「日本の課題」を考える国内FW(フィールドワーク)である。

 中3の「多文化共生」では、語学を含む事前学習の後、学年全員がホームステイを含む海外研修(オーストラリア、ニュージーランドから選択)で異文化を体験。高1の「日本の課題」では、戦争と平和について学ぶ「沖縄」、人権とは何かを学ぶ「水俣」、自然と人間の共生を考える「四万十川」、文化の本質と継承について学ぶ「京都・奈良」、東日本大震災からの復興を中心課題とする「岩手・宮城」の5方面の中からテーマを選択。事前学習をして現地を訪れ、人々と交流しながら、課題に取り組み、レポートを作成する。

「福島の原発事故に関心を持っていたある生徒は、水俣を選択。利益のために生み出した科学技術から生じた問題で、企業とその土地に住む人たちの関係性、長く風土を汚染してしまうことなどに、共通点を見いだしていました。水俣では実際に患者の方々とお話をする機会もあります。時には率直な質問のあまり、身を切られるような言葉が返ってくることもありますが、人と真摯に向き合う中で、生徒たちは成長していくのです」(大石校長)

 この「Kanagawaプロジェクト」を通じて、生徒たちは世界に視野を広げ、世界の課題を自分ごととして捉え、世界と自分はつながっているのだと実感する。その体験は、変化の激しいAI時代を生き抜いていくための、自分自身の“人間力”の核となる。

 面倒見の良い学校でも知られるが、生徒の自治活動を大切にし、先輩が後輩に自らの学びの体験を「伝える会」があるなど、生徒主体で自律的な女性を育てる環境がある。

グローバル教育にも力を入れている神奈川学園では、グローバル・ヴィレッジ(Global Village)の留学生を招き、英語で交流する機会を増やしている
神奈川学園中学・高等学校
http://www.kanagawa-kgs.ac.jp/
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