ICTを活用した“探究活動”で、
理系女子を積極的に育成

十文字中学・高等学校

1922年に創立した女子教育の伝統校。橋本校長の就任以来、グローバル社会で活躍する女性を育てるため、学校改革に着手。入試形態も多様化して、多彩な生徒が入学するようになった。その中でも力を入れているのが理系女子“リケジョ”を育てる理数教育だ。

十文字中学・ 高等学校
橋本ヒロ子校長

 豊島区北大塚にあるキャンパスには、広い人工芝の校庭があり、校舎には吹き抜けがある。特徴は教室の大きな窓で、職員室や図書館、コモンスペースも開放的な雰囲気だ。大きな窓にした理由は、オープンな環境で学ぶことで、心の垣根をなくし、協調性を育て、豊かな人間関係を結べる資質を養うため。大らかな情操が育まれる空気感がある。

「創立者の“十文字こと”は、理科が得意な師範学校教員で、1929年にジュネーブの世界教育会議に出席し、欧米の女子教育を視察して60歳で帰国、その成果を教育内容や当時の校舎の新築に生かしました。建学の精神は“身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ”。その精神は、グローバル社会で強く生き抜く女性を育てる、現在の十文字の教育に受け継がれています」。橋本ヒロ子校長はそう語る。

中学では第1志望者が
年々増加

 今、十文字が力を入れているのは、大学入試改革にも対応する、ICT環境を活用した探究活動である。昨年度から数Ⅰ「データの分析」の授業で、ロイロノート・Classi統計ソフトを利用して、身近な疑問をデータで解明してみるという試みをスタートした。統計的問題解決のフレームワーク「PPDACサイクル」を活用、疑問に対して仮説を立て、検証に必要なデータを収集・分析し、グループで討論した上で結論を得て、ポスター形式で報告・発表する。

 個々の生徒が設定したテーマは、「寝る子は育つは本当か?」「足のサイズが大きい人は身長も高いのか?」「早寝早起きは三文の徳なのか?」等々。「生徒たちの発想は大人たちと違って面白く、ポスターセッションでは、多くの他者とコミュニケーションを取り、数学的な表現力の幅を広げるという効果を期待しています」と橋本校長は、探究活動の浸透に意欲を見せる。

 もともと十文字は、校内の実験室エリアに充実したサイエンスパークを持つなど、理数系のリテラシー育成に力を入れている。その背景には、日本は理工系技術者や研究者の女性割合が分野によってはOECD※※諸国で最低であるという危機感がある。同校には、創立時からグローバルに活躍できる「リケジョを育てたい」という想いがあるのだ。直近では、理系学部への進学率は約2割だが、国公立大学の医学部や理工学部をはじめ、私立大学では医学部・歯学部や獣医学部、薬学部や看護学部へ進学する生徒が増えている。

 同校はまた、全国大会での優勝経験もあるサッカー部やマンドリン部など部活動も盛んで、文武両道を実現している。近年は、帰国生入試や思考力型(記述式)、得意型(英語あるいは算数)特待入試など入試形態が多元化し、多彩な才能を持った生徒が入学するようになった。中学受験では第1志望者が増加、十文字の教育理念に共感する層は確実に広がっている。

※「PPDACサイクル」……Problem(問題)、Plan(計画)、Data(収集)、Analysis(分析)、Conclusion(結論)のサイクル
※※「OECD」……経済協力開発機構
社会で活躍する女性を育てる「Move on プロジェクト」も今年で4年目を迎え、「Move On プロジェクト Next Stage」へ突入。ポスターセッションなどで、数学的な表現力の幅を広げる
十文字中学・高等学校
https://js.jumonji-u.ac.jp/
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