総務省が要求した通り、コストがガラス張りでわかりやすく、毎月の料金も低廉な携帯電話は誕生するのだろうか――。

 今日26日の中間決算の席上、NTTドコモが、注目の新料金体系を発表する見通しだ。下馬評によると、新体系の目玉は、総務省が「行き過ぎ」「不公平の温床」と批判してきた「販売奨励金」を従来のほぼ半分の2万円程度に圧縮すること。この結果、電話機価格は上昇するものの、月々の基本料が平均して1000円近く下がる可能性があるという。ソフトバンクとKDDIに押されて元気のないドコモだが、古くなったビジネスモデルから脱却して、競争力を取り戻す試みとして話題を呼びそうだ。

 ドコモが料金見直しに踏み切る契機になったのは、総務省の研究会が9月の報告書で、携帯電話業界で長年、不可侵の慣行とされてきた販売奨励金問題に着目、これを「不透明だ」と決め付けて是正を迫ったことだ。

 この問題について、販売好調のソフトバンクは「(同社が開発した電話機の)割賦販売方式を他社に真似されて、優位性が損なわれかねない」と、論議すること自体を批判。また、同じく好調のKDDIは、見直しに伴う変化が業績のかく乱要因になりかねないと総務省に反発した。

 これに対して、過去数ヵ月にわたり、両社の後塵を拝してきたドコモは、携帯電話市場全体の成長力が落ちてきており、奨励金の回収期間が長期化して収益の圧迫要因になる傾向が強まっていることから、ライバル2社よりも積極的な過去のモデルとの決別を決断したという。

ユーザー間の不公平に繋がる
販売奨励金制度にメスが入った

 ちなみに、販売奨励金の仕組みは、こうだ。まず、携帯電話会社が、シャープや松下電器産業といった電話機メーカーから電話機を一括して買い上げる。そして、1台につき平均4万円程度の奨励金を付けて、量販店や携帯電話ショップに卸す。この奨励金が、量販店やショップが電話機を格安で販売する原資で、数万円の電話機が「1円端末」「10円端末」に化けることを可能にしてきた。