雨傘世代の女神とカリスマも合流
新世代が仕掛ける多様な「工作」

 今回の抗議活動は、デモが見事に組織されたことだけではなく、抗議行動を成功させるためのさまざまな「工作」が仕掛けられていることが指摘されている。まず、「雨傘運動」の「女神」として世界的な知名度がある周庭(アグネス・チョウ)さん(本連載2015.10.13配信記事)が来日し、記者会見やシンポジウムを行い、世論に訴えた。

 また、6月16日に釈放された雨傘運動のカリスマ、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんも記者会見を行い、抗議活動に合流することを宣言した。つまり、デモを仕切っているのは、「ポスト雨傘世代」の新しいリーダーたちだと言われていて、彼らは表に出てこない。その一方で、知名度があり、逮捕歴もあって当局を恐れない雨傘世代は、どんどん表に出て、世論を喚起しているということだ。

 また、前回指摘したように、香港の抗議活動に対しては、米国や欧州連合(EU)、カナダなど国際社会が即座に反応した(2019.06.18配信記事)。これについても、国際社会が勝手連で応援しているのではない。香港の抗議者側からさまざまな国に対する働きかけの結果である(The Guardian,“Hong Kong protesters call on foreign leaders to raise crisis at G20”)。

 さらに、中国国内の他の民族運動との連携もみられる。G20が開催された大阪では、モンゴルやウィグルなどの民族活動家、支援者とともに集まり、デモを行った。そして、今回の世界の主要紙への全面広告の掲載である。

 要するに、今回の抗議行動は、「雨傘運動」の教訓を踏まえてというだけのものではない若者たちが、一人一人の持ち味を生かして役割分担し、ありとあらゆる手段を用いて、中国国内の協力者から国際社会まで巻き込んで、「逃亡犯条例」改正案を撤回に追い込もうとする構図がみえてくるのである。