ジョンソン氏は、英国が「合意なき離脱」の正式な準備を始め、EUにも悪影響を及ぼす脅威が現実味を増せば、EUは再交渉に応じると主張している。

 次期首相の対立候補であるハント外相もEUとの再交渉を望んでいるが、離脱延期も辞さない姿勢だ。

 EUとの交渉で新たな合意に達した場合、英議会議席650の過半数の支持を得る必要がある。与党保守党は単独過半数を制していない上、党内もEU離脱を巡り分裂している。

 議会過半数の支持を得るには、党内の合意なき離脱支持派と親EU派の双方を満足させるとともに、閣外協力する北アイルランド地域政党、民主統一党(DUP)の支持を得る必要がある。

 (2)合意なき離脱

 ジョンソン氏は、EUとの交渉が決裂した場合、離脱延期を求めないと表明している。ハント氏も合意なき離脱を排除してはいないが、それは最終手段だと述べている。

 議会は過去に、合意なき離脱を阻止する採決を行い、過半数が賛成票を投じたことがある。しかし実際には、合意なき離脱に議会の批准は必要ない。

 とはいえ議員らは、英憲法の「柔軟性」を利用して合意なき離脱を阻止する手段を見つけ出そうとするだろう。

 議員のそうした動きを回避するため、次期首相は10月31日以降まで議会を休止する可能性がある。「停会」と呼ばれるこの過激な手法を使えば激しい批判を招き、憲政の危機につながりそうだ。

 ジョンソン氏は停会の可能性を公には排除していない。ハント氏は、停会は「深刻な過ち」になると述べている。

 一部の保守党議員は、合意なき離脱を阻止するために離党して首相不信任決議案に賛成票を投じ、政権を転覆させる可能性をちらつかせている。わずかな数の保守党議員が不信任決議の賛成に回るだけでも、政権転覆の引き金を引くことは可能だ。

 (3)離脱延期

 EUとの合意が見通せないのに、次期首相が合意なき離脱に進めない、あるいはその意思がない場合、唯一の選択肢は離脱のさらなる延期になる。