(2)オープンな報酬相場形成

 筆者の手元にある東京家庭裁判所の某支部が作成した「成年後見人等の報酬のめやす」と題する書類によると、成年後見人の「基本報酬」の目安となる額は月額2万円で、管理財産が1000万~5000万円以下で月額3万~4万円、5000万円以上の場合は月額5万~6万円が目安だという。はっきり言って、高い!

 上記に加えて、身上監護上のイベントに対する追加報酬や、不動産取引を行ったときの手間賃ボーナス的報酬があるという。

 1000万円の財産で、基本報酬だけで年間24万円も取られるとは、金融サービスでいうと、預金しか持たないラップ運用に年率2.4%もの手数料を取られる感じだ。法外な手数料である。士業の手数料というものは、このような水準感のものなのかもしれないが、世の中のサービスの価格水準を考えるなら、家庭裁判所はいかにも世間知らずであるように見える。

 例えば、株式会社の後見人就任が認められるようになれば、成年後見ビジネスを営む株式会社は、基本報酬とサービスのオプションごとの価格テーブルを世間にも家庭裁判所にも提示すべきだろう。

 家庭裁判所は、当然のことながら経済性も考慮した上で後見人を選任すべきだし、後見人の選任に当たって、家族ないしは相続人に費用面の説明を行い、同意を取り付けるべきだろう。

 多くの家族は、後見報酬こそが認知症高齢者の財産を損なうような後見人の利用を望まないだろう。自らが後見人に就任して無報酬、ないし低報酬で後見を行おうとする場合が普通だろうし、法人等の後見サービスに価値があると納得するときにのみ職業後見人の就任を望むだろう。

 成年後見サービスにも競争が必要だし、報酬はオープンな過程で関係者の納得をもって決める必要がある。付け加えるなら、監督人の報酬も同様だ。

 現状では、家庭裁判所の決定がブラックボックス化していて、これを受け入れるしかないところにも家族等の大きな不満がある(「朝日新聞」19年4月3日、「後見人選定や報酬『すべて秘密主義』家裁に怒る利用者」)。