独自のグローバル教育とサイエンス教育で
“世界を心に入れた人を育てる”

啓明学園中学校高等学校

東京・昭島市にある啓明学園は、幼稚園から高等学校まで、15年間の一貫教育を実践している。 クラスに「国際生」が3、4割在籍するという独特の環境の中で、生徒たちは自然にグローバル感覚を身に付ける。 理数教育にも力を入れ、理系の進学先も増えている。

啓明学園中学校高等学校
北原都美子理事長・学園長

 啓明学園には、中学校で約4割、高等学校で約3割の「国際生」が在籍している。「国際生」とは、海外からの帰国生や国際結婚などによる外国籍の生徒のことだ。「国際生」の出身国や地域は40にも及び、ホームルームでは普通に多言語が飛び交っている。

 もともと啓明学園は1940年、「国際社会で活躍できる教育の実践」を目指し、三井家総本家11代目の実弟・三井高維(たかすみ)によって、帰国子女教育の学校として創立された。

 「中高の多感な時期に、さまざまな生活背景を持つ生徒たちと触れ合うことで、異文化を尊重し合う気持ちが生まれ、多様な人々と共に生きていく力、広い視野や豊かな人間性が育まれると考えています」。北原都美子理事長・学園長は、同校の利点をそう語る。

英語4技能に「思考力」をプラス

 特徴の一つは、充実した英語教育にある。啓明では「読む・聞く・話す・書く」の4技能だけでなく、「思考力(Thinking)」を加えた五つの能力をバランスよく育てる。その思考力を伸ばすために実施されているのが、夏季休暇中の英語レポートの課題だ。

約3万坪のキャンパスには、各種グラウンドや日本庭園、自然の森などがあり、子どもたちは、四季の変化を受け止めながら、感性を磨いてゆく

 中1と中2は、基本的な英語を用いて自分が考えたことを的確に表現する。中3では本格的な英語のレポートの書き方を学び、高校生になると映画や新聞・雑誌などの英語のメディアに触れ、生徒自身が感じたことや考えたことをまとめてクラスで発表する。

 「ある生徒は、妊娠した女子高生が卒業資格を取得できなかった米国の英文記事を取り上げていました。単なる記事の要約ではなく、地域の社会性やモラル、宗教的な背景を調べて考察し、自分の考えを論述していたのです。思考力を伸ばす課題を通じて、英語力だけでなく、社会の現在と将来を見通せる力も身に付けてほしいと考えています」(北原理事長)

クラスメートが「国際生」という環境

 国際生は一般生と同じホームルームに在籍するが、教科ごとに必要に応じて取り出し授業を受ける。啓明は徹底した“個別対応”をすることでも知られ、生徒に合ったオーダーメードの時間割を作成、未学習領域はサポート授業で補い、英語圏以外の国・地域からの国際生のために、フランス語やドイツ語、スペイン語などの外国語保持クラスを設けている。

クラスに「国際生」が在籍するグローバルな環境だ

 このように、豊かなグローバル環境が、一般生への良い刺激になっている。

 「今年ICUに進学した生徒は、中学入学当初の英語力は簡単な挨拶程度のレベルでしたが、クラスで友人になった国際生のサポートを受けて力を伸ばし、高校1年で英検準1級を取得。日常で実用的な英語を使う環境が、一般生の英語力を伸ばしてくれるのです」(北原理事長)

※「取り出し授業」…………通常の授業とは別に行われる指導

幼稚園から積み上げる理数教育

 啓明のもう一つの特徴は、理数教育に力を入れていることだ。啓明学園は同じキャンパス内に幼稚園・初等学校があり、15年間の一貫教育を実現している。その幼稚園の年長組から、小学校につながる算数や理科の授業を実施している。

「つくばScience Edge2019」の英語ポスターセッションで第2位を受賞した井上さん。写真は指導教員と

 「文系・理系にかかわらず、物事を多面的・立体的に考えるためには、理数的な思考力が素養として必要になります。幼稚園では、キャンパス内の豊かな自然も利用し、モノと数の対応を教えながら、サイエンスへの興味や関心を引き出しています」と、自らも幼稚園で算数を教える北原理事長は語る。初等教育では、他校に先駆けてプログラミングの授業を導入。中学校では、科学的な論理的思考力を持つ生徒を募集するため、2020年度から「算数特待入試」をスタートする。

 高校では今年3月、サイエンス部の2年生が、中高生の独創的な科学のアイデアを募る「つくばScience Edge 2019」で受賞を果たした。生徒の研究のテーマは“糖類を添加することでセメントの凝結遅延にどのような影響を与えるか”。英語のポスターセッションの第2位であり、理数的な創造力と英語力を生かした成果だった。

 18年度の卒業生は95人で、約5割が国立大や早慶上理・ICU、GMARCHなどの上位校に進学している。進学先は外国語・国際系が26%と多いが、生物・理工系や医療・獣医・薬・看護系など、理系分野への進学も増えている。昭島市の自然に恵まれた広大なキャンパスで、「世界を心に入れた人を育てる」という教育理念が実践されている。

幼稚園から高校まで、ワンキャンパスで、啓明の個性豊かな一貫教育が行われる

幼稚園から、算数の大切な力、数の概念や図形道具の操作の授業を行っている
小学校では課外学習でプログラミングの授業を行う。全国大会入賞の実力もある
国際生は全員、一般生と同じホームルームに在籍。教室が"国際化"している
毎年2月に行われるスピーチコンテストでは、英語以外の外国語も使われる

 

「SGH全国高校生フォーラム」で審査委員長特別賞を受賞

 2018年12月15日に開催された「SGH(スーパーグローバルハイスクール)全国高校生フォーラム」(文部科学省・筑波大学共催)のポスターセッションにおいて、啓明学園中学校高等学校が審査委員長特別賞を受賞した。参加146校の中より選ばれたもので、日々の学習や学校生活で地道に培ってきた英語力やプレゼンテーション力が評価された一例だ。

 

啓明学園中学校高等学校
http://www.keimei.ac.jp/jsh/
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