都心の好立地にある東洋高等学校。高校3年間という短い期間に「学ぶ力」を身に付けさせることを教育目標としている。ICT教育や課外活動、留学制度にも力を入れ、部活動との両立も奨励する。男女共に自由で活発な校風が、1都4県から志願者を集めている。

石井和彦校長
都内の私立共学では珍しく、高等学校だけの単独校である。創立は1906年。東洋商業学校を経て東洋高等学校となり、2001年に男子校から共学校となった。JR「水道橋」駅の駅前という好立地で、幅広い地域から生徒を集めている。
「中高一貫校と違い、6年間の固定メンバーではなく、15歳から新しい仲間と新しいスタートを切れるのが、単独校のいいところです。それまでの9年間でやってきたことを振り返り、“何のために勉強するのか”と新たにリセットする。本校の3年間では、知識だけでなく、社会に出てから役立つ“学ぶ力”を身に付けてほしいと考えています」
そう語るのは、石井和彦校長である。
若い教員が多く生徒との
コミュニケーションが活発
校訓は「自律・共生」、教育方針は「学び合い・助け合い・高め合いの実践」としている。その方針の通り、校風は自由で活発。教員の平均年齢は33歳と若い。進路目標に合わせて「特進選抜」「特進」「総合進学」の3コースがあるが、いずれのコースでも大切にしているのは、分かりやすい授業、興味の持てる授業。“学ぶ力”とは、言い換えれば、「未知のものを学ぶことは面白い」という自覚を持てること。そのために、教員自らが学ぶ姿勢を絶やさず、授業の中で生徒自らが学びたいと思う仕掛けを施してゆく。
部活動に所属する生徒が80%と高く、塾や予備校に通う生徒が30%と低いのが特徴で、難関国公立大を目指す「特進選抜」の生徒も、学習と部活動との両立を実現している。
それを支えているのが、同校独自の“フリーラーニングエリア”の存在だ。放課後、同校の7階フロア全体が「自習室」「質問室」「面談室」となり、生徒と教員が自由に教え合い、学び合いを行う。ICT教育への取り組みも充実しており、学年全体にタブレットを導入。教育支援アプリ、ロイロノートやClassiを使って、効率的かつ能動的な学習を進めている。
「教科の他に力を入れているのが、課外活動。インターンシップやボランティアをはじめ、JALの機体工場やJICA(ジャイカ)(※)の見学、海外大学の講師を招いての講演など、社会を知るための機会を増やしています。もう一つが国際理解。世界への視野を広げてもらうため、希望者にニュージーランドとオーストラリアなどへの1年留学、または3カ月のターム留学を用意。留学先で異文化に触れて刺激を受け、海外大学に進学する生徒も出ています」(石井校長)
進路指導は、大学名にこだわらず生徒の希望進路を徹底して応援する。18年度は、現役で国公立大45人、早慶上理・GMARCHに106人の合格実績を出した。「学校説明会や文化祭で、在校生の対応や雰囲気を気に入って受験する生徒が多い」という東洋高校。“自分は何をしたいのか”を3年間で大切に育ててくれる学校だ。

https://www.toyo.ed.jp/