アップルのアップストアやアマゾン・マーケットプレイスなどのプラットフォームは、いまや私たちの生活に欠かせない存在となっている。彼らは第三者に「場」を提供するだけではない。みずからその場に参入することもある。その行為は時に、サードパーティのビジネスを脅かすとして批判を浴びているが、実際はどうなのだろうか。


 自分の子どもがタブレットやスマートフォン上で何をしているかを監視したければ、現在、アップルがそのためのアプリを提供している。この手のアプリはずいぶん前からあったはずだが、それらはいま、どうなったのだろうか。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は2019年4月、「アップルはこの1年で、画面を見ている時間を監視したり、親が管理したりするアプリに関して、最も多くダウンロードされている17のうち、少なくとも11のアプリを削除または制限した」と報じた。6月初旬、アップルはこれまでの方針を転換して、iPhone上から削除する根拠としていた2つの技術について、これらのアプリが利用することを許可した。

 今回のアプリ削除の一件は、プラットフォーム企業に対して、サードパーティがよく口にする苦情と合致する。プラットフォーム企業は、自分たちでプラットフォーム上では何が成功するかを見極めたのち、最も収益性の高い分野にみずから参入し、その過程で往々にしてサードパーティを大きく衰退させるというのである。

 米国の上院議員で大統領候補のエリザベス・ウォーレンは、これに対抗できるような救済措置の提案までしている。この提案の中で、彼女は、中心的な問題を次のように特定している。

 所有するマーケットプレイスを利用して競争を制約することについて

 多くの大手ハイテク企業は、売り手と買い手が自由に取引するマーケットプレイスを所有しつつ、そこにみずから参入している。これは利益相反を生じる恐れがあり、その結果、競争を台無しにしうる。

 アマゾンは、小規模な会社がアマゾン・マーケットプレイス上で販売する商品を模倣して自社ブランド商品を販売し、小規模な企業を潰している。グーグルは、同社の検索アルゴリズムでコンテンツを格下げすることで、競合する小規模な検索エンジンを抹殺したと言われている。また、自社によるレストランの評価が、口コミサイトであるイェルプの評価よりも検索の上位に来るようにした。

 ウォーレンの提案は、全世界での年間収益が250億ドル以上のオンライン・マーケットプレイスが、「プラットフォームとそのプラットフォーム上の参加者の、双方を所有する」ことを防止するものである。

 だが、プラットフォーム企業は、どれくらいの頻度で、みずからのプラットフォーム参加者との競争に、直々に参入しているのだろうか。また、プラットフォーム企業が参加者の製品の領域に参入すると、参加者はどうなるのだろうか。

 私は昨年、この件に関して、これまでに実施された実証的研究の総説を発表し、プラットフォーム企業が参入する動機とその影響は、どちらも多面的であると結論付けた。