英ノーザンロック銀行の流動性危機とそれに対する救済策が、英政府やイングランド銀行の信認を揺るがしている。同行のキング総裁は今回の騒動で世論の激しい非難を浴び、一部には辞任を求める声まで出ているという。

 キング総裁は従来、モラルハザードを招くような金融機関救済策は採るべきではないと繰り返し主張し、2007年8月9日以降の欧米市場での混乱の後も緊急資金供給は行なわなかった。安易な救済要望論に眉をひそめていた識者はキング総裁のスタンスを高く評価していた。しかし、当然ながら金融関係者のあいだでは不満が鬱積していた。

 その後、ロンドンの銀行間市場でマネーの目詰まりがさらに激しくなると、イングランド銀行は方針を修正せざるをえなくなる。ノーザンロックは資金調達の4分の3前後を金融市場に依存してきたため、市場の流動性が細ることは同行の資金繰りを直撃する。イングランド銀行は9月14日に救済融資を発動した。また、取り付け騒ぎに対して、財務大臣は預金を全額保護する声明を発表した。