就職・転職での「深い自己分析」は時間の無駄!研究対象は別にあるPhoto:PIXTA

就職・転職は自分探しではない

 先日、転職を希望する若いサラリーマンから相談を受けた。

「職務経歴書を書くに当たって、人材紹介会社のコンサルタントの指示通りに『自己分析』をやっていたら、自分の何が長所で何が短所なのかが分からなくなった。過去にあったことや、思い浮かぶ価値観などを書いていたら紙がいっぱいになったが、結局まとまらない。自分の長所と短所を端的に教えてくれたら助かる」と言う。

 筆者は、まず「転職は自分探しではない。自己分析は時間の無駄だ」と答えた。ただ、これだけでは不親切かもしれないと思ったので、以下に述べるような幾つかの点を補足した。

 それにしても、大学の就職指導に加えて、転職の紹介会社までが、過去を振り返り自分を見つめるような「自己分析」を勧めるとは驚いた。指導する側も、指導される側も、それが役に立つと思っているとしたら、著しい時間の無駄であるように思われる。就職もそうだが、まして転職は自分探しではない。

「商品としての自分」を客観視する必要はあるが、ポイントは別のところにあると筆者は考える。