三つ目が建物の設計だ。オガールプラザの設計を担当したのは建築家の松永安光氏。いかに話題性のある建築物でも、建設後は維持費ばかりがかかり、おカネを生まない建築物はお墓と同じ、というオガール紫波の考えを理解したうえで、採用したのは木造でかつ在来工法だった。

 オガールプラザは98%地元の木材が使われている。柱は杉で、梁はカラマツである。在来工法だから地元の大工さんも工事に参加できた。結果、木造は高いという常識と違い、コンクリート構造よりもコストは安くあがったという。

 プロジェクトを率いる岡崎氏の建設会社は、プラザ建設には下請けはおろか、一切かかわっていない。「社長をしているおふくろが怒るんですよ。町のために働いているのに、どうしてうちには仕事が来ないのって」。岡崎氏は楽しげに笑い飛ばした。

100回以上も開かれた
住民説明会

 一方、藤原町長もオガールプロジェクトを全力で支えてきた。

 開発が進むオガールは、紫波中央駅を挟んで駅の西側に当たり、現在、町役場のある旧市街地は東側になる。3年後には町役場もオガール地区に移る予定だ。町の中心が移動するのだから、旧市街地の住民は心穏やかなはずがない。

 根本教授がこう指摘する。「地域開発で一番良くないのは、みんなにいい顔すること。いい顔はできないのに、ウソをついて、結局はすべて中途半端になる。それが通常、地域開発が失敗する原因です」。根本教授の藤原町長に対するアドバイスは、行政が一つ一つの地域に出向き、100回でも200回でも説明を行う、その際、住民の話を聞くだけではなく、行政の思いも伝えよ、ということだった。