「今後も寄付を続ける。自分の子どもが仕事を見つけられず、合法的にこの国に来たわけでもない人々と競争しなければならないという状況は嫌だ」と46歳のニュルンベルガーさんは語った。

 彼の寄付金がどこに行ったか、見てみよう。

 彼が最初に寄付したのは、2018年にワシントン州のケン・ダウニー氏が設立した非営利組織「ボーダーウォール・ファウンデーション」だ。ダウニー氏は国境警備局の広報官を務めたこともある退役軍人で、この活動は10代の娘のための社会教育のつもりだと話している。親子はウェブサイトやソーシャルメディア上のページを開設したが、集まった資金はわずか2450ドル。口座に預けたまま、さらに募金活動を続けるという。

「いつか、もうウンザリして中止を決め、天を仰いで『私たちには無理だった』と嘆くとしても、集まった資金は、『壁』建設をめざす別の取組みに寄付する」とダウニー氏は語った。

 ニュルンベルガーさんが次に100ドルを寄付したのは、全米郡保安官協会が、「税額控除対象となる皆さんの寄付金は、100%、我が国の南の国境の安全確保に使われます」と銘打って2018年3月に開始した「壁」資金調達キャンペーンだ。

 だが、寄付集めのための管理業務は徐々に同協会の手に余るようになり、また保安官の一部には、トランプ氏が掲げる「壁」構想に異を唱える声もあった。

 2018年9月、協会は、その時点で総額2万5000ドルとなっていた資金を別の非営利キャンペーン「ファンド・ザ・ウォール」に寄付することを決定した。このキャンペーンはメリーランド州のIT専門家クエンティン・クレーマー氏が開始したもので、トランプ氏が大統領選に出馬する前に、すでにウェブサイト用のドメインネームを登録していた。

 保安官協会の資金がクレーマー氏のグループに送金され始めた日、マサチューセッツ州ブリストル郡のトーマス・ホジソン保安官がFOXテレビの番組に出演し、保安官協会が募金用に作成したウェブサイトを宣伝した。クレーマー氏によれば、この週で寄付金は10万ドルに達したという。

 だが、クレーマー氏のキャンペーンもすでに「壁」に突き当たっている。クレーマー氏の計画では、集まった寄付金を国土安全保障省(DHS)に送金し、「壁」建設に使ってもらうつもりだった。だがDHSは資金を受け取れないとして、クレーマー氏に「(DHSには)現時点では外部からの寄付金を処理するリソースがない」と説明した。