だが、悲しいかな、酒を呑んでしくじったところで人生は終わらない。いや、むしろしくじったところでどう振る舞うか、酒癖がやばいのにどう生きていくかの方が実は重要だったりする。しかし、レールを外れた人は教訓を語る立場にないし、泥酔しながらも成功した人は多くを語ろうとしない。

偉人たちが
泥酔の現場から教えてくれること

 本書で取り上げた偉人たちはしくじりながらも、それなりに成功を収めた。生きていた時代が違うと一刀両断されそうだが、彼らは彼らで当時は壮絶に叩かれたり、バカにされたりしている。プライバシーなど皆無な時代なのだから想像に難くない。それでも前を向いて生きたのだ。

 酒を呑むなといいたいわけではない。もちろん、偉人にならって、泥酔のリスクなど気にせずに呑めと推奨しているわけでもない。人は欠点があろうが、少しばかり失敗しようがやり直せることを偉人たちは泥酔の現場から教えてくれる。本人の前向きな姿勢と周囲の少しばかりの寛容な目があればだが。お酒という題材を扱ったことには賛否があるかもしれないが、本書の本質はそこにある。昨日、メディアの取材を受けて「これは単なる酔っ払いのグデグデの話では無い広がりがある」みたいなことをいわれ、私自身もそんな気がしてきたのでそういうことにしておく。本当のところは、酒を呑んで失敗ばかりの自己弁護のために調べ始めたのが書籍化の原点なのだが。

 ともあれ、酒を呑んで泥酔しても胸を張れとはいわないが、くよくよ悩んでも仕方がないではないか。後ろばかり振り向かず、明日を元気よく生きる処方箋に本書はなるはずだ。

(HONZ 栗下直也)