韓国政府にとっても韓国国民の反日感情は両刃の剣だ。必ずしも韓国政府に味方し、後押しするものばかりではないことを肝に銘じるべきである。文政権に日本に対抗する有効な手段があれば、これを後押しするだろうが、有効な手段がない場合には、逆に文政権の無為無策を批判する運動にも発展しかねない。

 日韓双方で国民感情がぶつかり合うことは、日韓の対立を深め、泥沼化する方向へ導くだろう。

問題解決の道は、韓国政府が
問題の本質を理解し対応すること

 こうした両国の争いを解決する道としては、両国の首脳が会談して忌憚のない意見交換をするのが最善の道である。しかし、問題の本質を避け、独善的な道を歩む文大統領と会談して、成果が上げられるだろうか。文大統領には、この問題の本質をもう一度考えてもらいたい。

「文在寅という災厄」「文在寅という災厄」 武藤正敏著、悟空出版刊

 まず、この問題は輸出管理の問題であること。金正恩委員長のご機嫌ばかりとり、北朝鮮の制裁破りを黙認し、場合によっては助長する政策を止め、北朝鮮の核ミサイル、生物化学兵器の開発を制止する姿勢を明確にするべきだ。そして韓国企業で北朝鮮に加担する企業があれば、これを取り締まることである。

 今回の問題は、「元徴用工」問題への報復ではない。しかし、これまで日本が韓国をホワイト国として遇していたのは、韓国と戦略的価値を共有し、信頼できる友好国として扱ってきたからである。韓国が日本との信頼関係を回復し、再び友好国となるには、1965年の国交正常化の際に合意した事項を、誠実に順守する姿勢が重要になってくる。

 今回の争いを「雨降って地固まる」としたいものである。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)