さらに、関係をこじらせているのは、対応の問題だ。

 今年3月18日に行われた4回目の説明会が、打ち切りとなったため、児童の遺族側は、説明会の続きや新たな話し合いの場を望んでいることを、市教委に何度も伝えていた。にもかかわらず、一向に実現されなかった。第三者検証委設置については、市教委から遺族側に、一度も話がないままだった。

「何度も連絡をしたのに、はぐらかされ、なかなか会ってももらえない」と一部の遺族から聞いていた私たちも、市教委で開示資料を受け取るたびに、次の話し合いの日程がいつになりそうなのか、その都度、尋ねてみた。

 しかし、「遺族側から具体的な日程の相談はない」(指導主事)などと聞かされ、なぜこれほど両者の認識がかみ合っていないのか不思議に思った。「遺族会」の連絡なら聞くが、「一部の遺族」は相手にしないということなのだろうか、とまでいぶかしんだ。

 結局、第三者委設置のための2000万円を含めた一般会計補正予算案は、先日6月22日の石巻市議会の本会議で、遺族側の強い懸念を反映して、付帯決議付きで可決された。予算執行には、遺族の合意を得ることが必要で、事実上の予算凍結となった形だ。また、第三者機関設置後も市教委と遺族との話し合いは継続し、行方不明者の捜索に努めることも条件となっている。

遺族が知りたいのは“真実”だけだが…
市議の間でも高まる市教委への不信感

石巻市議会で、一般質問する森山行輝議員。大川小学校での事故に関して、独自でも調査し、議会で追及し続けている。(2012年6月18日)
Photo by Yoriko Kato

 これまで市議会で、境直彦教育長や亀山紘市長に、大川小学校に関する厳しい質問をぶつけてきた森山行輝市議は、税金の無駄使いではないかと憤る。

「遺族の人たちは、何が起きたか知りたい、きちんと真実を残したい、ということなんですよ。弁護士とか地震学者とか津波工学の専門家だとか、こころの健康の専門の先生方に検証していただいて、結果を来年3月31日までにいただくための、2000万円。もうほとんど時間もない調査で、何すんのや? と市教委に聞いた。そうしたら、<お互いに感情論で、親たちとの関係がスムーズにうまくいってないので、だから全部頼むことにした>と」

 市議たちの間にも、教育委員会に対する不信感がかなりあり、全員賛成の付帯決議に結びついたという。

 不信感が積み重なったのは、安全で安心だったはずの学校管理下で子どもを失ったという惨事のせいだけでなく、これまで、市教委が報告を二転三転させてきたことや、「聞き取り記録の不備」、後手に回る対応、といったいきさつにもある。一部の遺族には、子どもを失ったにもかかわらず、追及をあきらめる人もいるほどだ。こういったことからくる意識のずれは、地域の人間関係にも影響を及ぼしている。