デジタルは多産多死だPhoto by Masato Kato

仮想通貨系サービスや大手IT企業と共同開発した決済プラットフォームなど、独自のデジタル戦略を進める三菱UFJフィナンシャル・グループ。三毛兼承社長に、銀行業界トップが見据えるデジタル化の狙いを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田上貴大)

――デジタルテクノロジーに向き合い、その進化を自社に取り込んでいくために一番大事な視点と戦略は何だと考えていますか。

 デジタルトランスフォーメーションを進めていくときに、よく考えないといけないことが3点あります。

 一つ目は、競争のルールが大きく変わってくることです。テクノロジーの進化が社会の在り方や人々の行動を変えていき、その結果として(顧客の)ニーズや、ニーズに対する提供の仕方や提供できるサービスが変わります。例えばUberやAirbnb、Netflixなどはテクノロジーの進化で異なるビジネスを実現しており、これにより競争のルールが変わりました。金融でも同じことが起こります。

 二つ目は、こうした変化のスピードが加速してくることです。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのある調査報告書に、新しい技術が5000万人のユーザーを獲得するまでに要した時間という話が出ていました。それによると、ラジオは38年、テレビは13年、インターネットは3年を要しましたが、これに対してTwitterはわずか9カ月です。

 これはテクノロジーの進化に伴って新しいものが出てきたときに、もちろん拒否されるものも中にはありますが、受け入れられるものはものすごいスピードで人々に受け入れられるということです。これを念頭に置かないといけない。

 そして三つ目は、ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)が違ってくることです。かつて小さなパソコンが登場したときは、たくさんの説明書を読まないと立ち上げられないという事態が起きていました。

 ところがiPhoneなどのスマートフォンだと、説明書が付いてなくても人々は直感的に使いこなしています。これはユーザーエクスペリエンス以外の何物でもありません。このように、人々は説明を受けて初めて分かるということではなく、直感的に学んで使いこなせるというエクスペクテーション(期待値)を持っています。そこに新しい顧客体験を乗せていくことが大事になります。

 これら三つを意識したときに、私たち金融機関が考えないといけないのは、自前主義から脱却していくこと。つまり、オープンイノベーションが非常に重要になります。私たちのグループには、金融機関のビジネスに精通している人材が数多くいますが、この世界にこだわっていてはイノベーションを起こせません。外部の人たちと一緒に(金融を)リバンドル(再統合)しながら、新しいビジネスをつくることが必要です。