手代木氏は「自分たちで展開するところも、増やす必要がある。全て他人任せというわけにはいかない」と語る。

崖の向こう側

 多方面にわたって成長の種をまく塩野義だが、不透明感は付きまとう。

 同社は以前も「特許の崖」に直面したが、手代木氏の機転で乗り切った成功体験がある。販売権を譲渡した先の企業からのロイヤルティーを前もって減額するかわりに、受け取り期間を延長させ、切り立った崖をなだらかな丘に変えた。

 当時を知るシティグループ証券・アナリストの山口秀丸氏は「後にも先にも例を見ない妙手だった」とする一方、「今度の崖は厳しいだろう。ここ数年がヤマ場だ」と見る。

 塩野義では、「崖」のさらに先に当たる2030年や40年の将来像についての議論を始めたという。手代木氏は「今までのように、製薬会社が薬だけを提供すればいいという世の中ではなくなるだろう」と見通す。

 社長就任から10年を超えた手代木氏の頭の片隅には、後継者を社外から登用する選択肢も浮上する。

「他産業から見た製薬業界の理解できない部分を、どう埋めていくのかが次に必要なポイントだ。外部の人、もう少しヘテロ(異種)な人間を入れていかなければ、なかなか企業はダイナミックに成長できない」と話した。

(梅川崇 編集:田巻一彦)

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