トヨタの不思議な小型EV
その目的の謎

 東京おもちゃショー2012(東京ビックサイト西館/2012年6月14~17日)。

「超小型モビリティ」は、日本の社会と<br />自動車産業にとって本当に救世主となり得るのか?トヨタ「Camatte そら」。  Photo by Kenji Momota

 バンダイ、タカラトミー等の展示に混じって、トヨタが同ショーに初めて自社ブースを構えた。

 展示されたのは、「Camatte そら」と「Camatte だいち」の2台だ。

 両車は、互いにボディを着せかえしたEV(電気自動車)だ。ボディ全体が専用工具を使わずに、約2時間で変更できる。運転席は前席の中央、その後方左右にシートがある3人乗りだ。ボディサイズは全長×全幅×全高=2700mm×1300mm×1200mm。これは、道路運送車両法上の第一種原動機付自転車(ミニカー)規定に対して、全長で200mmほど長い。

 ドア機能はボディ上部が前傾で大きく開くのが特徴だ。このボディ構造、そして3人乗りの車内レイアウト、さらには「Camatte そら」の青いボディ色、これらは筆者が昨年英国で取材したゴードン・マレー・デザインの小型EV「T.27」(全長×全幅×全高=2500mm×1300mm×1600mm)に少し似ている。

「超小型モビリティ」は、日本の社会と<br />自動車産業にとって本当に救世主となり得るのか?トヨタ「Camatte そら」の内部。
Photo by Kenji Momota

 実際に「Camatte そら」車内に入ってみると、天井がかなり低く感じる。これはスポーツカーのイメージだ。メーターは、70km/hまで刻まれたスピードメーターと電圧計のふたつ。それらの右隣には、ネジのカタチをしたキーを差し込む電源メインスイッチ、その下に電源ONスイッチ、前進・後進の切り替え用シフトスイッチ、ハザードスイッチ、そしてキルスイッチ(電源遮断用)が並ぶ。また、運転席の床下右側にサイドブレーキ、同左側にはドアの開閉レバーがある。後席はかなり狭いが、ここに親が乗り、運転席の子どもと会話を楽しむという設定だ。運転席の高さとペダルの位置が調整でき、子どもでも運転できる。

 同ブース関係者は「カート場などクローズドエリアで走行するイメージ。市販の予定はいまのところない。バッテリーの種類、容量、航続距離などは公開していない」という。