ホットケーキ写真はイメージです Photo:PIXTA

レビュー

『「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント』書影『「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント』 遠藤 功著 東洋経済新報社刊 1620円(税込)

 誰もが一度は食べたことがあるであろう、家庭の味ホットケーキ。これをわざわざ外食で食べる必要があるのか、と考える人もいるかもしれない。しかし、本書『「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント』を読むと、そんな考えは吹き飛んでしまうだろう。

 本書はじつに不思議な本だ。ホットケーキの名店のガイドブックでありながら、ホットケーキの繁盛店からビジネスのヒントを探るビジネス書でもある。ホットケーキの名店には、海外からの観光客も多い。ある米国人家族は、黒塗りのハイヤーで板橋の大山にあるピノキオという名店に乗りつけ、ホットケーキを食べ、銀座の高級ホテルへと戻っていったのだという。なぜホットケーキはここまで世界を魅了するのだろうか。

 著者の遠藤功氏も、ホットケーキに魅せられた一人だ。思い出の店であった「万惣フルーツパーラー」の閉店にショックを受けた著者は、それ以来、ホットケーキを提供する個人経営の店の食べ歩きを始める。そしてホットケーキの魅力だけでなく、ビジネスを成功に導く経営戦略の肝までも学んだのだという。

 本書は二部構成になっている。前半では、都内、神奈川、関西の31ものホットケーキの名店を紹介していく。後半では、各繁盛店の「差別化」に焦点を当て、そこから見えてくる「ビジネスで成功するためのヒント」を解説する。