保険販売を「9月以降再開したい」とは厚かましい

 経営規模に見合って件数は多く、問題が発覚している契約、重大な疑義のある契約は現在までに発覚しているものだけで10万件という規模だ。

 日本郵便は、過去の契約に問題がなかったかどうかのチェックを優先するとして、かんぽ生命の商品の販売を自粛中だ。

 一方、同社はかんぽ生命以外の生命保険会社が提供する保険商品の販売を自粛するのか否かについては、判断が揺れているようだ。

 7月28日の「朝日新聞」の報道では「日本郵便はかんぽの保険販売を8月末まで自粛するが、9月以降再開したい方針。ただ、調査対象が膨大で新たに不正が見つかる恐れもあり、先行きは不透明だ。アフラック生命などほかの保険会社の商品の販売目標は当面維持する」とあるが、翌29日の「日本経済新聞」には「日本郵便は日本生命保険など他社の商品も郵便局の窓口で販売している。他社保険も営業を当面自粛するため、営業目標もいったん取り下げる方向だ」と報じられている。

 現実は、後者にならざるを得まい。今回の問題は、保険の商品にあるのではなく、販売のあり方なのだ。保険販売自体が不適切に行われていて、全貌が把握できていない状態なのだから、かんぽ生命の保険だけでなく、他社商品の販売も停止することが当然だろう。

 ついでに指摘しておくと、他社の商品販売をやめないまま、かんぽ生命の商品だけを販売自粛すると、会社としての日本郵便、個々の郵便局、保険を売るとプラス評価される職員の全てにあって、「他社商品を売って稼ごう」とするインセンティブが働くことになる。妙な抜け穴を作るべきでない。

 それにしても、「9月以降再開したい」とは、希望するのは勝手だが、仮に9月に再開を企むのだとすると、あまりに厚かましい。

 さらに、日経新聞が「他社保険も営業を当面自粛する」と報じた同29日には、「朝日新聞(朝刊)」で新たに契約書類の偽造が報じられた。まだまだ問題は底なしのようだ。