職場での無礼な振る舞いを見過ごすと、被害を受けた人は仕事への関心が薄れたり、心身の健康を害したりという実害をもたらす。マネジャーは当然、こうした問題に真剣に対処すべきだが、筆者らの調査によって残念な事実が判明した。リーダーたちは、無礼な振る舞いを行った加害者ではなくむしろ、被害者に対して批判的になる傾向があるのだ。


 職場での無礼な振る舞いは、非常にリアルな影響をもたらす。たとえば、職場で無礼な扱いを受けた人は、仕事への関心が薄れたと訴えたり、心身の健康を害したり燃え尽き症候群に陥ったり、辞職したりする確率が高くなる。

 しかも、働く人のほぼすべてが、話を最後まで聞いてもらえなかったり、仲間外れにされたりといった、職場での無礼な言動の被害に遭っている。推定では、1年間で従業員の98%が、そのような振る舞いや態度の標的になっているという。

 無礼な振る舞いの横行や影響を鑑みれば、リーダーたちは当然、そうした行為の報告を真剣に受け止め、事実を確認して、張本人を処罰していると考えるのが通常だろう。無礼な振る舞いを受けたとの報告があったとき、見識あるリーダーたちは、報告してきた当人が悪いなどと思うはずはない、と一部の研究者は考えている。しかし残念ながら、我々の研究からは、かなり暗い実態が浮かび上がる。