酒で身を持ち崩し離職…
マジメな郵便局員の転落劇

 出身は東京都だ。私立大学の経済学部を卒業して、郵便局に就職した。結婚して1男1女に恵まれ、ぜいたくはできないが、ある意味、普通の幸せをかみしめながら、順風満帆の人生を送れるはずだった。

 人生の歯車を狂わせたのは、ギャンブルでも女でもない、「酒」だった。

 たかしさんの仕事は、主に郵便局内で郵便物を仕分けすることだった。40歳を超えた頃から、仕事のストレスをスナックなどの酒場で晴らすようになった。もともとお酒は好きだったが、際限なく飲むようになっていったのがこの頃だ。それでなくとも、郵便局員の年収は決して高いとはいえない。家族3人を抱えているたかしさんが飲んで遊べるお金など、たかが知れている。しかし、たかしさんは、お酒の誘惑に勝つことができなかった。

 酒量を減らせないたかしさんはある時、消費者金融からお金を借りた。借金は雪だるま式に増え、怪しげな零細貸金業者にまで借金は広がっていった。

 この頃、郵便局や家に取り立ての電話がかかってくるようになり、たかしさんは自主退職の道を選んだ。

 そこからは、坂道を転がり落ちるように、人生が暗転していった。普通の退職なら、転職も可能だが、たかしさんの場合は、理由が理由なだけに難しかった。そんなある日、帰宅すると、家の様子がなんとなくおかしい。いつもなら洗濯物が干されているのに、何もない。テーブルの上には、妻からの手紙が置かれていた。