離婚からホームレスに
万引癖で逮捕重ねる

「もう、あなたにはついていけません」

 数週間後、判をついた離婚届が送られてきた。借金が返せないので、家に住むこともできなくなり、たかしさんは駅や公園で寝泊まりするようになった。ホームレスとしての生活が始まったのだ。

 新宿駅や渋谷の公園など、あらゆるところに行ったという。夏以外は、地べたが冷たすぎて横になることができない。段ボールを拾ってきて、「家」を作った。

 そんなある日、段ボールをコツコツとたたく支援団体を名乗る人が来た。よく説明を聞かずに、「布団の上で寝られる」と言うのでついていくと、待っていた車には、たかしさんのような人が、すでに何人も乗っていた。

 そのまま、さいたま市桜区にある「民家」に連れていかれた。そこで生活保護の手続きをしてもらい、月に約12万円、もらえることになった。しかし、そのお金は袋ごとその団体に渡され、宿代、食事代などを引かれ、手元には2万円も残らなかった。

「その時は先のことなんか考えていなくて、まかないさんがいて3食出るし、お風呂もあるし、寝てても生活できるし、酒も飲めた。それで10年近くそこで暮らしていたんですが、そこの会社が悪徳業者だというのがばれて、社長が捕まっちゃったんです。小さく新聞にも出ました」

 その後、行くところがないたかしさんは、毎日、区役所に行って食料をもらう生活を続けた。役所が何もしなかったわけではない。生活保護の取得手続きをしてくれ、自立を促してくれた。6畳1間で、家賃5万7000円。しかし、残りのお金で、また酒浸りの日々が始まってしまったのだ。

 結局、生活費が足りなくなり、おなかがすくとコンビニなどでおにぎりやサンドイッチを万引するようになってしまう。

 何度目かの逮捕後、まだ刑の確定前で拘置所にいたたかしさんは、顔と爪が真っ白になって、検査をしたところ病気が発覚。立川市内の病院で手術を受けた。