スマートフォンにより常時接続が実現したいまの世界は、私たちにメリットばかりをもたらすわけではない。「デジタル・ディストラクション(情報機器の使用による注意散漫)」を引き起こし、仕事が効率的になるどころか、集中力や生産性を低下させる要因になっている。筆者は、企業がそれを防ぐためにやるべき4つの施策を示す。


 常時接続しているいまの文化では、雇用主は労働者にいつでも連絡でき、すぐに応答を得られると期待している。しかし研究からは、常に接続していることが、エンゲージメントと生産性のレベルを低下させる可能性が示されている。

 今日のスマートフォン・ユーザーは、スマホを1日に150回チェックする。つまり、デバイスを立ち上げ、閉じるだけのことに1日2.5時間費やしているのである。

 1件のメッセージを読むには約2.2秒かかり、基本的な業務のミスの発生を倍増しうる。もっとよくないことに、労働者が元の業務の流れに戻るのには平均で11分かかる。我々にとってスマホは、もはや効率性を高めるツールというよりも、抑えがたい衝動となっている。

「デジタル・ディストラクション(情報機器の使用による注意散漫)」が生産性に及ぼす長期的な影響は、効率性の向上という恩恵を上回る可能性が非常に高い。かつてグーグルでデザイン倫理を担当していたトリスタン・ハリスの説明によれば、私たちは「アテンション・エコノミー(attention economy:関心経済)」と戦っており、そこでは開発者と広告主が、私たちの関心を乗っ取るよう動機づけられている。

 彼らの戦略は奏功している。今日、スマートフォン・ユーザーの26%は、ほぼたえ間なくオンライン接続しており、自分のスマホが鳴ったり振動したりしていないときですら、メッセージや通知や電話が届いていないかスマホをチェックしている。

 アテンション・エコノミーの影響に打ち勝つか、少なくとも対抗するために、雇用主は、以下のような実証済みの方法を取り入れて、ポジティブなデジタル文化を育成するとよい。