今週の音盤は、セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。

 古今東西の音楽のなかでも、屈指の名旋律の宝庫です。音楽を聴いて、癒されたいとか、胸がキュンとなりたいといった気分の時に聴けば、効果抜群です。例えば、道ならぬ恋にはまって切ない思いに悩んでいるとか、片思いで先方が振り向いてくれないとか、綺麗に別れたたはずだったのに、未だに引きずっていて立ち直れないとか、様々な恋愛症候群の人が聴けば、まるで自分自身が何処かの映画の(悲劇の)主人公になったような気持ちになれるはずです。

 それくらい、旋律のチカラに満ちた曲です。マリリン・モンロー主演で有名な映画「7年目の浮気」や、アカデミー賞とカンヌ映画祭グランプリ受賞のデビット・リーン監督「逢いびき」でも使われて、大いに雰囲気を盛り上げたわけです。だから、クラシック音楽の得意でない人でも聴けば、きっと「ああ、これね。聴いたことがある」と思うはずです。兎に角、品の良い哀愁のメロディーが静かに、でも、確実に胸の奥のツボに触れます。

ピアノのタッチがとてもエロい

アンソロジー(1)

 名演多数ですが、一押しは、アルチュール・ルビンシュタインのピアノとユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の盤(写真)です。未だにルビンシュタイン盤を超える録音はない、と断言します。何故か? 理由は簡単です。ルビンシュタインのピアノのタッチがとてもエロいのです。ため息が出ます。