ゼネコン列島最前線[第1回]大林組蓮輪賢治社長 Photo by Masato Kato

関西出身のゼネコンでありながら、東京スカイツリー(2012年開業)を施工して在京組を震撼させた大林組。本社を構える品川でリニア中央新幹線の新駅工事を施工し、名古屋の新駅工事も受注した。売上高はスーパーゼネコンでトップの2兆円超。18年に就任した蓮輪賢治社長に過去、現在、未来を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松野友美)

再開発案件が大型化
一個逃がしても大ダメージ

――業界は絶頂期で建築の受注量は多いのに、原価ギリギリで取ることが増えてきていると聞きます。その感触はありますか。

 再開発案件が個別の建物群というよりも街区ごとになってきています。代表的なものと言えば東京駅の大丸(百貨店)。日本橋や渋谷、新宿、池袋そしてこの(大林組本社がある)品川界隈もそうですよね。街区ごとの開発となると、大規模化する。

 物件が大型化すると、一個取り逃がしたら……。

――逃がしたときのダメージが大きい?

 そう。オール・オア・ナッシングとまでは言わないけれど、一件一件の受注確度を高めるためには価格競争が厳しくならざるを得ないというところもあるのは間違いない。

 だけど、目標利益率の設定をプロジェクトごとにジャッジします。もう(不況期に業界で多かった)赤字受注というのはあり得ないですよ、うちでは。それはもうできません。

 発注者との価格交渉の可能性とか、物件によっては設計変更の可能性あるいは価格を上げずに価値を高めるVE(バリューエンジニアリング)、機能を落とさずに価格を下げるCD(コストダウン)の可能性などを図りながら応札単価って決めますから、それ次第で入札の幅も違ってくるということです。