米国が中国との覇権争いで過去の冷戦時代などに比べて欠けるのは、対ソ連に対する時のようなNATO諸国での連携が一枚岩でないことだ。

 欧州のなかで、依然、中国との関係を重視する国は多い。しかも、トランプ政権は同盟国との関係は日本を除いて緊密とは言い難い。

 米国が中国封じ込めで勝利を収めるには、現在のトランプ流の「米国第一主義」では困難で、同盟国やグローバルな組織や制度を活用した大義が求められる。

 1970年代以降のG7の結束も弱体化し、国際政治の舞台は中国や新興国も含めたG20の場に多様化した。

 トランプ政権はTPP離脱やイラン核合意離脱に象徴されるように、マルチナショナルな組織での圧力よりも二国間での「ディール」を活用するやり方だ。

 しかし、今後、中国封じ込めの実効性を増すためには、マルチでの枠組みが不可欠だ。

 米中の覇権争いが、2020年の大統領選以降まで続く長期戦とすれば、米国の戦略は再びグローバルな協定や同盟国との関係を緊密化させる対応に舵を切る必要がある。

中国台頭の30年は
フロンティア拡大の30年

 米国が同盟国との関係重視などの必要性を認識すれば、米国の戦略に変化が生じることもあり得るだろう。

 一方でその場合には、本格的な「新冷戦」は固定化し、世界のレジームが米国―中国で分断され、企業の生産体制や貿易の流れが変わるリスクがあることに留意が必要だ。

 89年のベルリンの壁崩壊以降は、グローバルで経済のフロンティアが大幅に拡大する経済成長の30年だった。

 図表2は、ベルリンの壁崩壊以降の世界のフロンティア拡大を示す概念図だ。

 それまでの世界の経済活動は、西側(資本主義)の北(先進国)によるものだった。その象徴的なものが1970年代にできたG7のサミットだ。