柔軟にオファー金額を設定できる企業と
できない企業の違いとは?

 候補者の希望通りの金額を提示することが必ずしもよいとは思いませんし、評価の高くない人材に社内規定を超えたオファーを出す必要もありません。しかし、自社にはいない高いレベルの候補者を採用しようとするとき、「社内規定でこの金額です」と提示していたら、みすみす他社に持っていかれるのは自明です。

 社内規定にとらわれすぎず、候補者の希望と前職の給与、市場におけるバリュー、その人に対する期待値といったさまざまな要素を参考にしてオファー金額を設定するのが正しいやり方です。それができない企業は、人材獲得競争に負け続けてしまうでしょう。

 ところが人材獲得競争に負け続けてもなお、社内規定に基づくオファー金額しか提示しない企業がたくさんあります。それはトップが採用に関与していない、あるいは熱心ではない証拠です。そうした企業では人事に権限が与えられておらず、社内規定に沿ったオファーしか出せないのです。

 逆にトップ自ら採用に関わったり、人事に十分な権限を与えたりしている企業では柔軟にオファーが出せるので、獲得競争に勝つ確率は高まっていきます。

 ある成長企業では10年ほど前、中途採用がなかなかうまくいかない時期がありました。やはり社内規定通りの金額でしかオファーを出さなかったためです。要は、現職で年俸1500万円の候補者に、「社内規定で最大限に出しました。1000万円です」といったオファーを出していたのです。

 しかし現在はこれを改め、候補者の評価に応じて柔軟にオファー金額を出せるようにしました。その結果、多くの優秀な人材を獲得できるようになり、この企業の成長を加速させています。

人材競争を勝ち抜くには
「臨戦態勢」が必要

 採用がうまくいっている企業では、トップが採用の重要性を十分に理解し、幹部総動員で取り組む姿勢が見られます。

 現在はベンチャー企業も資金調達がそれほど困難ではなくなる一方、ビジネスのソフト化が進み、「人材への投資が重要」との意識が高まっています。自社の目標の実現には優秀な人材の獲得が大前提だと考え、優先的に投資を行う経営者もいます。

 我々、人材紹介会社が優秀な候補者の依頼を受けてマッチングを行うとき、まず頭に思い浮かぶのはもちろん、トップ自らが採用に情熱を傾けている企業です。