中国発「プラごみ」大流出時代に、日本企業が最後の防波堤と目されるワケマイクロ・プラスチックごみが世界的に問題化しているなか、日本企業にかかる期待とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

マイクロ・プラスチックが蔓延
いずれ人体にも被害が?

 マイクロ・プラスチックと呼ばれる直径5ミリ・メートル以下のプラスチックが、世界的な問題となっています。マイクロ・プラスチックは、海に流れ込み、海の生態系を脅かしています。最近では土壌にも大気にもマイクロ・プラスチックは漂っているとされています。マイクロ・プラスチックは、知らずしらずのうちに人体に取り込まれ、いずれ被害をもたらすともいわれています。

 プラスチックだけでなく、資源ごみが問題となっています。当初資源ごみ問題は、地球環境の破壊とは別の問題として、切り離されて考えられてきました。世界銀行が管理する「地球環境ファシリティ」は、気候変動や砂漠化、残留性有機物汚染などの問題解決のために資金を拠出してきましたが、プラスチックごみへの対処はかなり後回しになっていたように見られます。

資源ごみ問題の主役は
経済発展著しい中国

 資源ごみの問題は、経済発展と切り離して考えられません。1990年代はグローバリゼーションが開花した時代で、発展途上国が一斉に経済成長への歩みを始めた時期に当たりますが、このときから世界中で資源ごみ、プラスチックの廃棄が問題化し始めました。

 資源ごみ問題の主役は中国です。2000年のWTO(世界貿易機関)への加盟を機に、中国は猛烈な経済成長に突き進みました。一国の発展には資源が必要です。中国は、天然資源だけでは足りず、古紙、金属、中古家電、衣類、ペットボトルなどのリサイクル資源を世界中から輸入・リサイクルしました。リーマンショック前の一時期、世界のエネルギー業界は、このような中国の高い成長率に追いつけなくなった時期もあります。

 この時期の日本では、リサイクル関連法が鳴り物入りでスタートしました。容器包装リサイクル法(2000年)、家電リサイクル法(2001年)、食品リサイクル法(2001年)、建設リサイクル法(2002年)など、個別品目ごとにリサイクル法が制定されていることが特徴で、そこには省庁間のタテ割り行政が大きく影響しています。このため日本のリサイクル各法は、メーカーに対し回収やリサイクルを義務づけている点で共通していますが、その方法は法律によって異なります。