お手並み拝見

 このことは、習氏が2012年に最高指導者に就任して以来貫いてきた国家主義的な政策に符合する。国営メディアはここぞとばかり、米国について敵対的な報道を流している。

 中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報の編集長Hu Xijin氏は先週ツイッターに「米国の貿易戦争によって中国内の親米思想は非常に肩身が狭くなり、共産党が中国社会を結束させることが容易になった」と投稿した。

 中国在住のある米国企業幹部は、追加関税を巡るトランプ氏の態度は裏目に出て、習氏の追い風になると指摘。「北戴河会議に出席する習氏にとっては好都合だ。部屋中を見渡し『ほらね、こんな人々とは交渉できないでしょう』と言える。習氏からすれば、トランプ氏の脅しはお手並み拝見といったところだ」と語った。

 米戦略国際問題研究所(ワシントン)の中国研究フリーマンチェアー、ジュード・ブランシェット氏は、習氏は特に香港問題など外部的には厳しい環境に直面しているが、国内の立場はさほど弱っていないと言う。

「米大統領が気まぐれな人物だという一点においては、習近平氏は幸運だ。米中関係がここまで悪い方向に進んだのは、予測不可能な米大統領がいるからだと自らを正当化できる」

 インターネットが厳しく検閲される中国本土では、香港のデモ参加者らに対する連帯感はほとんど生まれていない。中国政府は米国がデモを画策したとする黒幕説も唱えている。

 とはいえ、政界に詳しい筋によれば、トランプ氏の気まぐれさは中国指導部にとって頭痛の種であり、関税によって経済は悪影響を受けている。習氏は貿易戦争や香港の抗議活動にうまく対処するための選択肢をほとんど持たない。